置物の 視線感じる 曲がり角2011年01月12日 21時54分49秒

電車を降りてから会社へ向かう途中に、地主さんの家だと教えられたら納得してしまうような大きな家がある。
土地や家の広さだけでなく手間の掛かりそうな植え込みや何かもあって、不景気なんて言葉が関係なさそうな雰囲気を漂わせている。
そんな家の窓際に出来の良い猫の置物が飾ってあったのだけど、体毛の柄だけでなく姿勢まで同じ品が2つ並んでいるため、量産品のように見えてし折角の高級感が台無しとなっていた。

窓際の猫の存在に気が付いてから、問題の家の前を通る度に何か視線を感じて振り返ると、全く変わらぬ姿勢で窓の外を見守っている2匹の姿があり、軽くホラーな体験をしているような気分となっていた。
そんな折に問題の家の前で母親に連れられた幼児が、窓際に飾られた猫の置物へ向かって、手を振りながら「ニャンニャン、ニャンニャン」と声を上げる微笑ましい光景があった。
そんな様子を横目に捕らえながら通り過ぎた瞬間、微かに司会へ入ってきた猫の配置が普段と違う気がして、言いようのない違和感を覚えながらも引き返して確認するまでもないと、胸のざわめきを無視して通り過ぎた。

そんな一幕が先週末にあったので、今週に入って初めて窓際の置物へ注目しながら歩いてみると、それまでピクリとも動かなかった猫が毛繕いをしていたから驚いた。
もちろんホラーな話ではなくて、あまりにも微動だにしないので置物と勘違いしただけで、柄も背格好も写し鏡のように似ている2匹の猫だっただけなのだが、今でも毎日に変わらぬ位置で同じ姿勢をしているので混乱させられる。
恐らくは朝日の温もりを得るために間痔際へ座り込んでいるのだろうが、あそこまで動かないで居られると生き物と分かっていても、本当は置物なのではないかと勘違いしてしまいそうになる。

元より猫があまり好きでないので注視していなかったと言っても、随分と派手な勘違いをしたものだと、自分の事ながら呆れてしまう。
何にしても問題の家の前を通る度に感じていた視線も、猫が原因だと分かったけれど、首を動かさずに視線を飛ばしてくるとか器用な真似をしてくれたものだ。

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