【まったり空間】

昨日の風邪は無事に撃退できたのだけど、父親の煩わしい小言を聞かされた影響で精神的にむ病んでしまい、休日の大半を無気力状態で過ごす羽目となっていた。
こんな状態へ陥るのなら風邪を引き続けても変わり映えしないと呆れつつ、疫病神が居なくなってもなお自宅で落ち着けない我が身を哀れむばかりだ。
しかも、父親の小言は土日の２日間に俺が在宅するだけでさえ苦労しただの何だのと言い出して、政治や週休に絡んだ話で意見が俺と合わない事への苛立っているだけに見える。
その憂さ晴らしを遠回しにしているのだろうけれど、その行動があまりに稚拙ながらも言い返しても火に油を注ぐだけなので、苦痛であろうと黙って堪える他にないという精神的な老人介護にうんざりしている。

父親の厄介な所は見識の狭さや相対する意見の否定を危険視しているのに、全く実戦できていないのに完遂していると勘違いする自己評価の高さにある。
例えば、父親は宗教が大嫌いなのだけど、無神論で害悪としての拒絶しているだけで、信仰心を悪魔の種か何かと思い込んでいる。
その割に宗教家の殆どは悪人でなく、危険思想の持ち主が一部に限られると理解者のような発言をする。
ところが、危険思想の持ち主が宗教を利用しただけの場合も多く、宗教は争いや戦争と無関係であるとする考え方を教えても、宗教が諸悪の根源だと言い続ける。

父親の中では宗教の根源を世界平和の追求だと根付いていて、事なかれ主義の集大成が信仰だとする発想も言葉で理解を示すのに、宗教が嫌いなので危険思想と結び付けやすい持論から離れようとしない。
結経は嫌いな物を悪く見ようとする見識の狭さから抜け出せていなくて、典型的な頑固者なのに見識の広さを自負しているのだから面倒臭い。
もっとも言うだけ無駄と分かっていながら、反論している俺も悪いのだけど、無神論者と信仰心を害悪と決め付ける輩を同類扱いされるのも胸糞悪いので、どうしても無駄口から墓穴を掘ってしまう。

精神的な落ち込みは未だに頻発するけれど、復帰する方法も大まかに分かってきたし、沈み込む予兆を捉えて気持ちの切り替えも覚えてきた。
それでも独りで過ごす時間が増えると、マイナス思考の這う同率も比例してくるので、立ち直ったのでなく逃げ隠れが上手くなっただけなのだろう。
財政問題から派生する不安なのだから、金銭的な余裕が生まれない限りに立ち直りようもなくて、今までの無頓着が招いた結果と思えば自業自得でもある。

自宅でジッとして過ごしても良い方向へ進まないので出掛けてみると、窓から吹き込む風がひんやりとしていたのに、外へ出てみるとじわりじわりと暑さが積もっていって、最終的に汗だくとなっていた。
金曜に池袋への寄り道をしていないので電車へ揺られて行ってきたら、車内空調が冷房設定になっていたりと夏の雰囲気だった。
日の長さも夕食時まで明るくなっているし、季節は既に夏へ傾いているのでないかと思えてくる。

金欠だと言いながら寄り道を欠かさないなど愚行に思えるのだけど、楽しみすら放棄するほど追い込まれていると感じられて、そこから落ち込むパターンもあったので見るだけでもしてくる事にした。
幸いにして買う物が少なかったので、日常を続けられたと心の平穏へ繋げられたから良かった。
楽しみまで根刮ぎに我慢していると、生きている意味を見失ってしまうようで、節約するばかりだと余裕がなくなって何処かへ転がり落ちてしまう。

趣味もまた生活に必要な消費であって、無闇矢鱈と切り捨てるべきでないのだと思える一日だった。