[小説:闇に舞う者] part722012年09月02日 19時36分44秒

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http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805

「何だか扱いに大きな差を感じるわ。」
ティティスが苦笑混じりに呟くと、ルワンが少し考え込むような素振りを見せた。
「贅沢にも不満があるらしいな。仕方ない、実演ではないが、実験してやろう。少し魔導力を込めてから貸してもらおうか。」
ティティスはルワンの提案に驚くも、気が変わられたら困ると慌てた様子で目を閉じて、静かに呼吸を整えていく。
ティティスの魔導力がルアルへ流れ始めると、ルワンの時と異なる白く輝きが魔導具へと染み込んでいく。
5秒ほど魔導力を送り込んだ所で、大きく息を吐きながら目を開けると、安心した様子で小さく溜め息を吐いた。
「まだ魔導力を込めるだけで緊張する段階か。これは先が思いやられるな。」
ルワンが魔導具を受け取る際に呆れた様子で呟きを漏らすと、ティティスが一気に赤面して俯いてしまった。
その2人の遣り取りを横から長めながら、チェルニーはとても面白そうな笑顔を見せている。
その笑顔がまたティティスの羞恥心を刺激したらしく、耳まで赤く染めながら小言を漏らしていた。

ルワンが受け取った魔導具の鞘を抜いて、チェルニーに見せた実演のように窓へ刃を向けて構えた。
「ルアル、対物理結果を重ねて、結界の刃を作ってみてくれ。」
ルワンが魔導具へ向かって語り掛けた言葉に反応して、即座に刀身に淡く輝き始めた。
そこから暫く魔導力の光が灯ったり消失したりを繰り返して、試行錯誤を繰り返している様子が伺えた。
「日本刀の作り方を知っているか?」
ルワンがそう呟くと、消失と点灯を繰り返していた魔導力の輝きが沈黙する。
「見ての通り、生きている故に悩む事もある。こいつらが生きてる事を忘れてやるな。」
ルワンが待ち時間を潰すように語ると、2人の少女が大きく頷いて応えた。

ルアル・ソリテルの刀身に細かい雷が走り初めて、長かった静寂を電流の爆ぜる音によって破られた。
細かい雷は刀身を覆う光の糸へと変わると、中空へ伸びていって長さ1mほどの骨組みを形成する。
完成した骨組みへ幕を張るように新たな結界が伸びていき、1枚が終わると新たな色が重なっていく。
そうした課程を5回ほど繰り返されて、1本の濃厚な光で構成される刃が生み出された。
「見た目は様になっているが、作り出すのに時間が掛かりすぎで、燃費も悪い。問題が山積していて、実用性はやはり低いか。」
ルワンは小言を漏らしながらベッドから離れて、部屋にあった調度品から試し斬りの的として花瓶を取り上げる。
2人に見えるようテーブルの上へ花瓶を置くと後ろへ回り込み、振り返りざまに剣を横薙ぎにした。
結界の刃は音も立てずに通り抜け、両断されたはずの花瓶は何事もなかったように鎮座していた。
ルワンが花瓶を持ち上げようと掴み上げると、刃が通った証拠に二分されて上半分だけが付いてきた。
「手応えは良い感じだな。」
鞘へ収める素振りを見せると、結界はガラス食器が砕けるような音を残して崩れ去った。

ルワンが花瓶の断面を確認して感嘆の声を漏らしてから、ティティスへ魔導具を放り投げた。
それから両断された花瓶を持ってベッドの脇へ戻ると、1人ずつに1つ欠片を渡して断面を確認させた。
渡された花瓶の断面を見ていれば、まるで磨かれた鏡のように顔を映し出していた。
その切れ味を目の当たりにして、チェルニーもティティスは言葉を失って驚いていた。
「言っておくが、刃と使い手の腕があっての断面だから勘違いするなよ。」
「分かってるけど、それでもこんな切れ味を目の当たりにしたら驚くわよ。」

この頭痛 何時になったら 静まるの?2012年09月02日 20時16分33秒

昨日に池袋まで足を伸ばして、PSPVITAのゲーム機本体を購入してきたので、朝からゲーム三昧の生活をする予定だったのに、寝起きから頭痛に悩まされる羽目となる。
30分も休憩すれば落ち着くだろうとPCの前で休んでいたけど、昼近くになっても回復する兆しさえ見えない有様で、気分を変えようと遅めの朝食を済ませるためにリビングへ移動する。

父親がちょうど買い物へ出掛けているらしく、落ち着いて食事ができると喜んでいたのに、スパゲティを茹でている間に帰ってきてリビングへ居座ってしまった。
平日の食事が仕事の合間を縫うような格好となっているだけに、休日の食事を落ち着いた気分で食べたいと思っていて、今日は頭痛がしていたので尚更に独りで居たかった。
それ故に父親が帰宅した時は鍋の火を消して2階へ上がろうかと、本気で考えてしまうほどに嫌だったのだけど、拗ねられると余計に面倒くさいからと我慢する方を選んだ。
無駄だと知りながら体調が悪い旨を伝えたけど、さも当然のように俺が興味のない自慢話を展開していって、頭が痛くて静かにしたいと言った意味を何故に理解しないのかと、心の中で何万回と溜め息を吐いていた。

苦痛の食事が済ませて急ぎ足で自室へ戻って回復を待っていたけど、15時頃まで頭痛が続いて四苦八苦としていた。
辛うじて回復したところで、念願だったPSPVITA専用ゲームソフト「初音ミク ProjectDIVA-f」を起動して遊び始めた。
過去シリーズも遊んでいるので楽に進める事を期待したけど、体調が万全でない以前の問題として、ゲーム機を使い慣れていなかったり、演出が豪華すぎて打点が見辛かったりと、落とし穴が多くて苦労した。
画面が広くて綺麗な事は素晴らしいのだけど、目の弱い俺としては綺麗すぎた印象があって、慣れるまで苦労しそうだと言いながら奮闘するも、最終的に頭痛が再発して中断する羽目となった。

ゲームを中断した直後に時計を確認してみれば、小説を書き始めないと行けない時間となっていて、頭が痛いと喚きながら必死にキーボードを叩き続けて書き上げるも、色々と不満の残る形となってしまった。