突風と 砂塵を抜けて 病院へ2012年03月31日 19時47分41秒

ここ最近に疲労が溜まっている事もあり、通院に支障を来さないレベルで睡眠時間を多くしたかったのに、朝から突風の吹き荒れる音がうるさくて目が覚めてしまった。
二度寝ができそうにもないと諦めて起床してから、天気が気になって窓の外を覗いてみれば、家々の合間から引っ越す前の自宅が揺れている様子が見えて驚かされた。
7年ほど前に引っ越す前の自宅は風の強い日に酷く揺れていて、現在の自宅へ超してきて真っ先に「揺れない!」と歓喜した事を思い出した。
そんな懐かしさが通り過ぎた頃に、今日が通院日である事を思い出して、この強風の吹き荒れる中で外出を強要される我が身を呪いながら、風音に起こされて良かったと思えてきた。

眠気が残っていた事もあって空腹感が全く無かったけれど、朝食後に服用すべき薬もあったし、強風の中で自転車を走らせる体力を補充する意味も含めて、のんびりとした朝食を済ませてから出掛けてきた。
家を出た時刻は通常なら十分に余裕があったのだけど、玄関を開けた瞬間から全身を包み込む凄まじい風音に圧倒され、何分で病院へ辿り着けるのかという不安が沸き上がってきた。
唯一の移動手段となる自転車へ向かって歩き出し、強風の中へ出ると花粉症対策で着けていたマスクが飛ばされそうになって、尋常でない風圧に苦笑するしかなかった。

どれだけの強風が吹いていても通院だけは外せないので、諦めの溜め息さえ攫っていく強風の中を自転車で走り出した。
まず最初に自宅から10mほど進んだ所で、停めてある自転車に掛けられた雨除けカバーが完全に裏返って、洗濯バサミで留めていなければ何処かへ飛んでいっただろうと容易に想像できた。
俺が見ていた30秒近い時間の間に、1度として逆立った状態から戻らなかった事を考えると、洗濯バサミが壊れて飛ばされて行くのも時間の問題に思えた。

自宅から200mほど先に進んで川沿いへ出ると、蕾が付き始めたばかりの桜並木を見上げながら端を渡れば、更なる恐怖の光景が飛び込んできた。
前方50m先の交差点までは視界良好で、手前に青信号が見えるのに対となる奥の信号を視認できなかった。
視界を塞いでいる犯人は左の畑から交差点へ流れ込む茶色い風、春先の招かれざる風物詩である砂塵であった。
最近はまとまった雨が降っていなかった事もあり、今日ほどの強風が吹いていれば砂塵が舞っても不思議でないのだけど、完全に失念していたので思わずブレーキを掛けるほど驚いた。

砂塵を避けて通れる道もあるのだけど、かなりの遠回りとなる事と強風による移動速度の低下を考えると、苦労して病院へたどり着くも受付が終わっている、そんな場面も想像に難くなかった。
空が茶色く染まっていない事を考えると、局所的に砂塵が舞っていると思われたので、意を決して走り出して目にゴミを入ろうと気にせずに突き抜けた。
予想通りに10mほどの距離を通り抜けてしまえば、視界から茶色が消えてくれたので安堵したけど、道中に点在する畑は全て茶色い風の発生源となっており、突撃という行為を何度も繰り返させられた。

そんな調子で強風と砂塵に苦しみながら病院へ到着して、どんな状態なのか想像もできない頭髪へ櫛を通してみると、長くない髪なのに途中で3度も引っ掛かった。
髪を梳いてから服の砂塵を払ってから病院へ入り、受付を済ませてから洗面所へ向かって顔を水で洗うと、ホッとしたらしく自然と息が漏れていた。
しかし、その直後に「帰り」があることを思い出してしまい、安堵の笑みは一瞬にして苦笑の表情へと変わっていた。

病院の診察が予想よりも早く終わった事もあり、帰り道は砂塵の嵐を避けられる遠回りコースを選択した。
畑が砂塵の発生源となっているのだから、都市化地域や住宅街を経由して行けばよいのだけど、そちらのコースはビル風など強風をより悪化させるため、午前中だけで相当な疲労感に苛まれた。

Toda氏との昼食会は通常通りに行われたけど、普段に利用している食事処が休みだったので、第2候補であるインドカレーの専門店へ行ってきた。
インド人が作る本番のスパイスを使った辛さなので、日本人が作る唐辛子だけの品がない激辛と異なり、最大の辛さでも美味しく食べられると分かっていた。
それでも徐々に辛さを上げていくことで、最も美味しく食べれる辛さを知りたくて、段階的に辛みを強くしていた。

辛さ4を食べた感想は今までに比べて、後味の辛さが強くなった感があり、それと同時に旨味も増している印象もあって、とても美味しく頂けた。
そんな辛さと旨味を楽しんでいる所に、店員さんが「辛さ、大丈夫?」と聞かれたので、「辛みのは得意だし、美味しく頂いてるよ」と即答しておいた。
そしたら「辛さ5、食べてみる?」と思わぬ質問が飛んできて、四半分しか残っていないのにどうするかと、疑問を抱いていると「大丈夫、すぐにできるよ」と追撃を掛けられた。
これはもう言葉に甘えるしかないと思えて「食べてみたい」と答えると、カレーの入った器を厨房へ持っていった。

食べかけの器が厨房へ運ばれてから分弱、ルーが1.5倍ほどに増えた器が戻ってきて、「常連さんへのサービス」と良い笑顔のオマケが付いてきた。
辛さ5に生まれ変わったカレーを食べてみた感想、口へ入れた瞬間は辛さ4と変わりないと思えたけど、後味に残る辛さがレベルアップしていた、
旨味も辛さも両方とも楽しめて、本当に美味しかった。