その自慢 傍から見ると 惨めだぞ2012年03月21日 22時30分17秒

俺の父親は定年まで勤めていた会社の都合もあり、地方への出張やら接待が多かったため、かなり顔の広い方の人間に属している。
外に顔が利いている分だけ家庭内での存在感は希薄となり、平日は酔って帰ってきては大した理由もなく怒鳴り散らして、休日は寝たばかりという具合で遊んでもらった記憶など殆どない。

母親が他界して以降は父親も定年退職したこともあって、俺が自宅で食事をとる時は常に同席しているけれど、酒が入ると何度も聞かされた昔話を繰り返す。
あの政治家がどうだとか、あそこの教授とはまた飲んでみたいとか、何かを自慢したのかも知れないけれど、俺は全く興味がないので基本的に聞き流している。
俺でも知っている政治家の名前も何人か出てきたけど、現状を見ていると無能という評価しか下せないわけで、そんな下らない奴の話を聞いて楽しいはずがない。

酔っぱらいの相手をしているのだと割り切れば、適当にあしらったところで覚えていないので良いのだけど、最近は朝食の際に似たような話を始めるから困ってしまう。
誰それと酒を飲んだという思いで話ではなくて、テレビで紹介されている店についてで、その内容は常に「出張で連れて行かれた事があるけど、言うほど美味しいとは思わなかった」といった具合だ。

本人はもっと旨い物を食べてきていると言いたいのだと思うけど、俺の視点での評価は「貧乏舌で高級料理が口に合わないだけ」との解釈となるわけで、何時になったら気付くのかと呆れるばかりだ。
ましてや、定年するまでの父親は超が3つ付くレベルの濃い味付けを好んでおり、うどんを茹でれば麺が黒く変色する状態が常だった。
そんな馬鹿舌で分かる味なんて喉越しくらいなもので、何故にそんな自慢げな顔をできるのかと哀れみさえ感じてしまう。

自慢話とか喜んでする人が居るけれど、聞いている側は哀れみの視線を送っている場合が多いので、自重することを強くお勧めする。