冠水と 聞いてはしゃいだ その末路2009年08月10日 20時28分46秒

今日は台風によって押し込まれた雨雲が関東地方まで届いてきて、朝から大粒の雨が降っていたのだけど、風がさほど強くなかった事もあってそれ程に酷い雨量には感じられなかった。
そんな俺の認識をひっくり返すメールが届いたのは早朝 6時58分の事で、G社長から会社周辺の道路が冠水状態となっているのでスーツで出勤するのは控えた方がよいとの警告だった。

俺の自宅は何処へ行くにしても坂を上らなければならない谷底と呼んだ方がしっくりとくる盆地にあるのだが、今までに河川が氾濫したこともなければ道路の冠水や床下浸水といった被害に遭ったこともない。
恐らく自宅から直線距離で100m足らずに小さな川が流れているので、上手く水を逃がすことができている為なのだろう。
それに普段は浅くて幅も狭い川なのだけど、下流へ向かって下り坂となっている上に殆ど曲がっていないので、水が増えると姿が一変して急流のような勢いで水が流れていく。
その豹変ぶりが何とも言えず心を躍らせる魔力を秘めていて、子供の頃に台風が直撃している真っ直中に川の増水を見に出掛けた事が何度もあって、その時の記憶が蘇ったのか道路が冠水という状況を楽しみにしていた。

当然のように最寄り駅へ向かう道中も川沿いの道を走って、増水して勢いを増した川の姿を眺めながら少しテンションを高めに自転車を走らせてきた。
今日の増水量は普段よりも水位が1.5mほど高くなったレベルで、台風が直撃している時に匹敵していたけれど、俺が自宅を出た時は雨の中休みだった上に風が殆ど吹いていなかったためか迫力に欠けていた。
それでも久しぶりに濁流と化した川から目を離すことができなくて、やや前方不注意と自重を促しながら走ってきた。

G社長からメールをもらってから 2時間が経過した頃に会社の最寄り駅へと到着したのだけど、残念ながら大雨はとっくに過ぎ去ってしまって道路の冠水も見る影もなかった。
道路が冠水していたという話が信じられないほど綺麗な路面は見ていると、何やら祭りに出遅れてしまったかのような無念さが感じられて、先ほどまでテンションが無駄に高かった分だけ大きく落ち込んでしまった。
後でG社長の話を聞いたところによると、玄関を開けたら滝のような雨が降っていて道路が川のようになっていたらしい。
話を聞く限りでは単純に排水路の許容範囲を超える雨量のために路面が水浸しになっていただけで、河川が溢れたとか排水路から水が逆流していたという話ではなかったらしい。

後々になって考えてみれば地形的に考えて、水の被害が大きくなるような土地柄でもないし、冷静に考察していれば無駄にガッカリとする事もなかったはずだ。
要するに冠水しているという言葉で興奮した事が諸悪の根元というわけだ。