間に合えと 焦り続けた その終わり2009年08月27日 20時45分20秒

今日は依頼主が実際にシステムのテストを行う予定となっていたため、大きな修正を加えることができないという事情もあって、ここ数日の修羅場モードが嘘のように穏やかな時間が流れていた。
とは言っても、体に蓄積された疲労は色濃く影響を及ぼしていて、一日を通して頭痛や耳の痛みが取れなかったし、昼食後に軽く吐き気を感じるなんて場面もあった。
それでも気分が悪ければ机に突っ伏して寝ていられる程度の余裕があったからマシな方だったけれど、仮眠と呼ばれる程度の睡眠では回復しきれらず起きるタイミングを間違えると余計に調子が悪くなる始末だった。

多少の不満はあったものの長かった修羅場が一段落したため、今日は空が明るい内に会社を帰宅の途に就いた。
会社から駅へ向かう途中で軽く目眩を感じて、電車に乗りたくない気分となったためコンビニで立ち読みをしながら休憩をしていくことにした。
このところ忙しくて雑誌を読んでいる余裕がなかったため、読みたい本がたくさんあって随分と長いこと立ち読みをしてしまった。
読みたかった雑誌を粗方に読み尽くして、最後の 1冊となったところで不意に母親の仏前に飾る花を切らしたままな事を思い出して、慌てて時計を見ると急いで電車に乗っても花屋へ営業時間内に着けるかどうか微妙な時間を指していた。

どうするか悩むまでもなく急いでコンビニを後にして、電車へ飛び乗ったのだが急行がいないという乗り継ぎの悪さにアウトかも知れないと軽く諦めの念を抱いてしまった。
以前にも同じパターンで準急に乗り込んで「頼むから間に合え」と祈りながら花屋へ急いでいた時はアウトだった記憶があるだけに、嫌な予感がして仕方がない。
俺がひいきにしている花屋は店員がローテンションで入れ替わっていて、人によって閉店時間が前後する事があるので、必ずしも過去の例が適用されるわけではない。
そのため、ひとまず諦めや不安の言霊を吐いたりしないよう必至に飲み込んでいるのだけど、仕事で修羅場っているのとは違った焦りがあって何とも言えない気分だ。

もちろん花が買えなくても実害が発生することはないのだが、やはり母親が他界してから仏前の花を 3日と枯らした事がないため、気にし始めると止まらなくて落ち着いていられなくなってしまう。
何よりコンビニで時間を潰したりしていなければ、余裕で花屋の営業時間へ間に合っていたと思うと、仏前の花を忘れていた自分に対して怒りさえ感じてしまう。
それに明日は必至に作ったシステムのプレゼンテーションが予定されているので、神頼みの意味も含めて仏前の花を飾りたいとか考えた事も気をはやらせる要因となっていそうだ。

色々と思いを駆け巡らせる中で迎えた下車駅への到着時刻、普段なら人が捌けたところを見計らってドアへ向かうところ、今日はいの一番に降りんばかりの勢いで前に出てきた。
そして、込み合うエスカレー他を避けて階段を早足で上がって改札から100mほど歩いたところにある花屋を目指して突き進んでいく。
曲がれば目的地が見えるという角に迫った時は軽く緊張を覚えるほど気を高ぶらせながら左折すると、明かりが見えるはずの場所が大きな影に飲み込まれてしまっていた。

しかし、何か店先で動いている人影が見えたので諦めずに歩を進めていくと、証明は消えているもののドアが半開きとなっていた。
もしや閉店準備が整った後の戸締まり中ではないかと推測しながら店の中を覗き込んでみると、運が良い事に俺の顔を覚えてくれている店員さんが正しく戸締まりをしていた。
長らく通い続けている常連だけあって、店員さんは快くレジを開けてくれて無事に歯仏前へ飾る花を購入することができた。

小さな事ではあるけれど久しぶりにうれしい気持ちとなった帰り道、虫の鳴き声が心地よく感じられる良い夏の夜だ。