[小説:P★RS 半裸さん日記] part102012年11月25日 17時39分22秒

第一話がこちらになります。
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「さて、サクッと次の磨きへ行こうか。」
半裸さんがワリトちゃんを移動させ終わってから、意気揚々と玄関へ戻ってきます。
「まだ行くのか。」
ディーナちゃんが疲れた顔をしながらも差し出された手を素直に握り返しました。
半裸さんは拒むだけ労力の無駄と悟っての行動と知ってか知らずか上機嫌です。
「全部で200件だよ。そして、まだ1件しか終わってない。」
半裸さんが嬉しそうな笑顔で腕を突き出してくるのに対して、ディーナちゃんは頬を引きつらせて笑う事しかできませんでした。

「では、張り切って2件目へ行こうか。」
半裸さんがパネルを操作すると、先程と同様に玄関が別宅の裏口へと繋がります。
先程と異なる部屋である事は一目瞭然、ちゃぶ台が置かれ和室の中央に1人、ぷちロクちゃんがテレビを見ながら寝転がっています。
容姿は黄色いツインテールに黄色いアウターを着込んでいて、背中を向けているので表情は分かりません。
ディーナちゃんが在宅中の磨きに戸惑いを感じるよりも早く、半裸さんが手を引いて飛び込んでいきます。
驚きの声を噛み殺して、降り立った床が足音の立たない畳だった事にホッと安堵の溜め息を吐きました。

ディーナちゃんがそっと顔を上げると、半裸さんが顔を覗き込んできて、視線で「準備OK?」と聞いてきます。
その合図に頷いて応えてから、テレビを見ながら時折に震える背中へゆっくりと近付いて行きます。
半裸さんは手が届く位置まで近付くと、しゃがみ込んでクリームを手に取り、アウターの痛んでいる箇所を探して擦り込んでいきます。
擦り込むと言っても押し付けて擦るわけでなく、触れるかどうかの微妙な手加減でクリームを塗っていきます。
半裸さんは磨き終わると同時に急ぎ足で部屋へ戻っていきます。
ディーナちゃんが気になって後ろを振り返えると、黄色のぷちロクちゃんがテレビに背を向けて、半裸さん達を見送っていました。
ディーナちゃんと目があった瞬間、黄色のぷちロクちゃんはニヒルな笑顔を向けてながら、グッドサインを送ってきました。
そのサインへ対して小さく会釈を返している間に、裏口を通り抜けて自宅へと戻ってきていました。

半裸さんは部屋へ戻ると同時に振り返り、ニヒルな笑顔を向けるぷちロクちゃんを確認すると、悔しそうな呻き声を上げました。
「黄色の妖精さんだけは気付かれずに磨けた事が1度もないの。今回も気付かれたか、悔しいな。」
ディーナちゃんには悔しそうに俯きながらもしっかりとグッドサインへ応えている半裸さんの姿がとても楽しそうに見えました。
悔しがっているのに楽しそうと、相反する言葉が繋がっていて矛盾している気もしました。
言葉を正そうと考えても同じ結論へ辿り着いてしまい、悔しさも含めて心の底から楽しんでいるからだと、納得するしかありませんでした。

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