[小説:闇に舞う者] part582012年02月26日 20時05分32秒

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「面倒なこと極まりないな。」
十分な致命傷を与えて既に終わっているはずが、再び窮地へ追い込まれている。
ルワンはそんな状況に舌打ちをしながら、悪態を付きながら打開策を模索していた。
ヴァンが漏らした言葉の通り、目の前で展開されている術式は禁術『魔界の貪欲なる炎』で間違えなかった。
術式を調べる手間こそ省けたけれど、状況は圧倒的な劣勢に傾いたまま変わらなかった。

ルワンはヴァンの禁術を封殺する術式を知っていたが、非戦闘状態でしか術式を組めないという自身の制約が障害となっていた。
ヴァンの魔導力は敵意が宿った事で猛毒と化しているため、非戦闘状態へ入るために防御を解けば、その時点で魂が障られて死へ至りそうな状況だった。
僅かなチャンスさえあれば対抗策を講じられるのに、魔導力も殆ど尽き果て、身動きさえも取れない。
お手上げとも言える状況下で諦めずに思案を巡らせていても、何度も舌打ちしてから考えなそうと言う行動の繰り返しになっていた。
精神を磨り減らしながらも可能性の一滴を掴み取ろうと、ルワンは静かな戦いを続けた。

魔導力に障られて身動きが取れない。
その状況は闇の森へ入った直後のチェルニーやティティスを連想させた苦笑と共に言葉が漏れる。
「素人と同レベルとは、情けない限りだ。」
魔導士として発展途上にあった頃、サポートをしてくれた面々を思い起こし、懐かしさに癒しを感じて頬を緩ませた。
僅かに生まれた心の余裕に守るべき者達への気遣いが挟み込まれ、意識を後方へ傾けた瞬間から踵を返して走り出していた。
先程までの舌打ちは歯軋りへと変わり、後方で起きている異変に今まで気付けなかった事を呪いながら床を蹴った。
魔導力の大半を肉体強化へ回して、移動を最優先にしたため防御が薄くなり、ヴァンの魔力に障られるも、歯を食い縛って走る事に専念した。

ルワンが少女達の元へ辿り着いた時、チェルニーもティティスも自身から溢れ出す魔導力に体を浮かされ、爪先立ちの状態で痙攣を繰り返していた。
「ティティス・リアムレイド、チェルニー・ウィドール。抗うな、受け入れろ。そいつは俺の戦友だ。」
呼吸を整える間も作らず、精一杯の大声で意識があるのかも定かでない少女達に語りかけた。
彼女達に起きている現象はルワンの貸し与えた魔導力から、大量の魔導力が注ぎ込まれた事によって起きていた。

強力な魔導力と意志を秘めた魔導具は、所有者と認めた者と魂で繋がろうとする反応を起こす事がある。
本来なら契約の儀式という段取りの中で行われるのだが、時として魔導具から一方的に浸食される形で行われる事もある。
後者は身に余る魔剣を手にした愚者などに見られる状態で、その殆どは魂が崩壊して廃人か怨念の操り人形と化す末路を辿る。
そして、チェルニーとティティスに起きている現象は、後者の魔導具から一方的に浸食されている状況であった。

ルワンが「抗うな」と指示した理由は、彼の貸し与えた魔導具が所有者を浸食するような邪な物でないと信じていたからだ。
現状で魔導具に宿された意志が行動を起こした事に理由があると考えれば、止めるよりも先へ進ませる方が得策に思えた。
それにルディアを旅立つ際に予言者であるマリアーヌ王女が、ルワンとティティスは出会う運命にあるのではないかと述べていた事も引っ掛かっていた。
ティティスがそうであるなら、チェルニーもまたルワンと出会う運命にあった人物という可能性が出てくる。
その上での現状を見てみれば、ルワンが貸し与えた無二の魔導具が彼女等を所有者を認める動きを見せている。
運命という言葉を信じるに足る状況にあるならば、その流れに乗ってみても良いと考えていた。

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朝起きて 時計を見たら 昼でした2012年02月26日 20時26分24秒

ここ数日に夜更かしを繰り返していた影響が出たらしく、今日は昼12時まで爆睡していました。
寢過ぎたおかげで体の節々が錆び付いたらしく、体を動かす度に間接が音を出すような状態で、首の凝り方が特に酷くて動かすのも苦労するほど痛かった。

ストレッチをして体を解そうかと考えたけれど、立ち上がるだけでもうめき声が漏れるほどの痛みを感じたので、入浴で血行を良くして筋肉の緊張を解いてからにしようと考えた。
幸いにして、我が家の風呂は24時間風呂となっていて、入浴したいと思った時に入れるため、のんびりと20分ほど湯船に浸かってきた。
予定通りに血行も良くなり体の緊張も取れたので、自室へ戻ってから軽くストレッチを行ったおかげで、首以外の痛みは殆ど感じなくなった。

PCの前に座ってから所用でチャットを始めて、話し込んでいたら何時の間にやら16時になっており、慌てながら小説の執筆活動へと突入していった。
本当だったら来月の花見と称したサイクリングのため、錆び付いた体を動かそうと考えていたのに、遅くまで寝ていたおかげで何もできず終いとなった。
こんな調子だと花見へ出掛ける体力どころか、気力さえも涌かないなんて事態へ陥りそうで恐ろしい。

小説の執筆作業はここ最近の酸欠による思考停止を防ぐため、暖房を使わずに生活していた事もあって、比較的順調に進んでくれた。
先週の書き掛けていた分もあるから早めに終わるかと期待していたけど、酸欠状態で書いた文章は殆ど使い物にならなくて、ゼロから書き上げる感じだった。

今日はそれほど苦労せずに小説を書き上げられた訳だけど、やはり寒いからと言って部屋を閉め切って引き籠もったり、灯油ストーブを使いすぎるような注意しよう。