[小説:P★RS 半裸さん日記] part122012年12月16日 20時31分16秒

第一話がこちらになります。
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2012/09/17/6576628
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半裸さんが投げ付けられた皿を返しに行きますが、ワリトちゃんは随分とご立腹の様子で受け取ろうとしません。
ディーナちゃんは半裸さんが頭を撫でたり抱き締めたりと、ワリトちゃんのご機嫌取りに奮闘する様子をぼんやりと眺めています。
半裸さんにはワリトちゃんが拗ねている理由が分からないようで、時折に殴られたりと悪戦苦闘しています。
そんな様子を傍観しながら何をやっているのかと呆れつつも、見ていて飽きないと微笑ましくも感じ始めていました。
「オレは早くも毒され始めているのかな。」
ディーナちゃんは今のドタバタを楽しいと感じ始めている事を自覚して、苦笑と共に言葉を漏らしました。

10分ほど奮闘した結果、半裸さんは無事にワリトちゃんのご機嫌取りに成功して、玄関へ戻ってきました。
ディーナちゃんは疲れた様子で頭を垂れたまま歩いてくる半裸さんへ声を掛けようか迷いました。
迷った末に口を開こうとした時、半裸さんが大きく息を吸いながら体を起こして、ゆっくりと天井を見上げていきます。
大きく腕を広げながら限界まで吸い込んだ息を一気に吐き出すと、普段通りの笑顔を輝かせる半裸さんに戻っていました。
「よし、お疲れモードは終わり!」
先程までの疲れた様子が演技でないかと疑いたくなる回復力に、ディーナちゃんは呆れ顔を向ける事しかできませんでした。

「それじゃ、次の磨きに行ってみようか。」
そういってパネルを操作し始めます。
ディーナちゃんはその様子を眺めながら、何とも言えない嫌な予感がしていました。
そんな不安を伝えようと顔を上げた時は既に手遅れで、玄関は別の家と繋がるワープホールとなっていました。
また着替え中ではないかと身構えますが、見た所は不在らしくて住人の姿が見当たりません。
安堵の溜め息を漏らしながら、半裸さんに引かれるままワープへ飛び込んで行きました。

裏口から室内へ入ると、半裸さんが小首を傾げました。
「どうした?」
ディーナちゃんが見上げながら問い掛けると、半裸さんが困ったような表情で見返してきました。
「不在の時に出てくるはずのマネキンがないから、もしかして故障かも・・・」
そう答えた直後、半裸さんの背筋を凍らせる警戒信号が電流のように駈け巡ります。
本能の赴くまま、ディーナちゃんを左へ移動させつつ、嫌な予感のした右の方へ振り返りました。
そこで目にした光景は、床へ寝転ばされたピンクメイドのドールと、押し倒したまま覆い被さっているネコミミ少女のぷちロクちゃんの姿でした。
ピンクメイドのドールちゃんは呆然としたまま見詰めてくるのに対して、ネコミミ少女さんは目を輝かせながら舌なめずりをしています。
「半裸さんが~、ドールを連れてきた~♪」
そう叫ぶと同時に、ネコミミ少女さんが四つん這いから一気に飛び上がります。
天井を這うような高度を維持したまま、半裸さんを飛び越えてディーナちゃんへ突撃していきます。

ディーナちゃんは身の危険を感じながらも、状況が飲み込めずに硬直しています。
ネコミミ少女さんはその様子を空中から見詰めつつ、両手は気の逸りから空気を揉み始めています。
「ちょっとペロペロさせてにゃ~」
ネコミミ少女さんがそう言葉を漏らした瞬間に、半裸さんが床を踏み鳴らしながら飛び上がります。
音に反応したネコミミ少女さんが視線を床へ向けましたが、半裸さんを見付ける事ができません。
半裸さんはネコミミ少女さんが首を曲げて足下を見ない限り見えない死角へ入り込んでいたからです。

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