[小説:P★RS 半裸さん日記] part112012年12月02日 20時15分41秒

第一話がこちらになります。
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2012/09/17/6576628
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半裸さんはひとしきり悔しがってから、やおら立ち上がるとパネルを操作し始めます。
「よし、次へ行こうか。次へ!」
開き直ったような口調で言葉を零しながら、口先を尖らせていていました。
ディーナちゃんはそんな様子に気付いて、次も失敗して悔しがる姿を見たいと思ってしまいました。

ディーナちゃんは玄関が他の家の裏口と繋がる瞬間の音に聞き慣れきて、自然と正面を向くようになっていました。
別の家と繋がった扉の向こうを見てみると、部屋の中央でナイトのアウターを着込んだ凛々しいぷちロクちゃんが周囲を警戒していました。
誰もいない事を確信した様子で、おもむろにメイドのアウターを取り出すと、そそくさと着替え始めます。
ディーナちゃんが顔を赤らめながら、嫌な予感がして半裸さんを見上げると、先程の悔しそうな色が消え失せてニヤリと笑っています。
「このような状況を役得と呼ぶのさ!」
半裸さんが嬉々とした表情で部屋へ飛び込もうとします。
「これはさすがにアウトだろ。せめて行くならオレを置いていけ!」
ディーナちゃんが慌てて叫びながら、勢い付く半裸さんを引き留めるようと引っ張りましたが、手応えが全くありません。
大きく後ろへ倒れ込みそうになって、反射的に重心を前へ戻した瞬間、タイミングを見計らった半裸さんが引っ張り上げてきます。
後ろへ倒れそうだった体は一転して、前へ放り出されるように浮き上がり、抵抗する暇も与えられずに裏口から突入していました。

ディーナちゃんは不本意ながらも、入ってしまったからには仕方ないと気配を殺します。
それでも不満を隠すつもりもなく半裸さんを睨み付けますが、わざとらしい気付かない振りを押し通されました。
ここで駄々を捏ねてもナイトのぷちロクちゃんに見付かって叱られるだけと諦めて、早く退散させる方向へ頭を切り換えます。
改めて視線を正面へ向けると、先程のナイトなぷちロクちゃんが可愛らしいメイドのアウターへ着替え終わって、鏡を前にポーズを取っていました。
凛々しい第一印象からのギャップも相まって、頬を赤らめながらポーズを取っている様子はとても可愛らしく見えました。

半裸さんは見取れているディーナちゃんを促して、鏡に映らない角度から近付いていきます。
射程圏内まで近付いてから立ち止まると、ディーナちゃんが隠れるように背中へ寄り添ってきました。
背中の感触にうっとりしながら、ポーズを決めて楽しむぷちロクちゃんのアウターへ手を伸ばして、絶妙なタッチで磨いていきます。
星の数ほどアウターを磨いてきた半裸さんは邪念が混じっていてもミスをしません。
磨き終えた事をディーナちゃんへ合図すると、二人で足音を消して飛び出します。
裏口へ飛び込んだ直後に振り返ると、磨き完了を知らせるメッセージが流れていました。
それを目にしたぷちロクちゃんは耳まで赤く染めながら、顔を両手で覆いながら鏡の前で座り込んでいきます。

ディーナちゃんが罪悪感を覚えているのに対して、半裸さんは眼福だったと楽しそうに笑っています。
ディーナちゃんが呆れながら見上げていると、パン皿が飛んできて半裸さんの後頭部に直撃しました。
パン皿は意外と頑丈らしく「ゴンッ」と軽快な音を立てながら割れずに、回転しながら落下していきます。
きりもみしながら落下する皿は早々にダメージから復帰した半裸さんによって受け止められていました。
「ワリトちゃん、お皿を投げるのは危ないから止めようね。」
ディーナちゃんが半裸さんの言葉に皿を投げ付けた犯人を察して振り返ると、ワリトちゃんが拗ねた表情で見ていました。

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