根絶を 説いた足下 血に染まる2018年03月19日 23時13分17秒

横綱による暴行事件において、貴乃花親方は被害者となる力士の親方として暴力の根絶を訴えながら、横綱の品格だの何だと騒ぎ立てる事で相撲界の柱を引退へ追いやった。
そんな事件の記憶も新しい今日この頃にあって再び相撲界で暴行流血事件が発生したのだが、今度は貴乃花部屋に属する力士同士による事件というから笑ってしまう。
暴力の根絶を訴えながら職務を蔑ろに早退を繰り返しつつ、内閣府へ告発状を提出した矢先に身内が暴行事件を起こす流れは、小説なら出来過ぎた展開だと没になりそうな粗筋だ。

今回の事件は事の経緯を聞いていくと、貴乃花部屋の人手不足に端を発するように見受けられて、力士が取組へ集中できる環境を整えられない親方の責任が大きいと思える。
その上に事件の発生した時、親方は早退して言質に居なかったというのだから、褒められる点もなければ同情できる面も見当たらなくて、それこそ起こるべくして起きた事件かも知れない。

格闘技と分類される競技を行う集団において、暴力を根絶する事がそもそも不可能だと思っている俺にとって、貴乃花親方は綺麗事を並べる偽善者にしか見えない。
格闘技は闘争本能をぶつけ合う部分が存在する事から分かる通り、見ようによって野蛮とも言える要素を抱えていると言える。
その野蛮な部分を抑え込む必要性に関しては言うまでもないけれど、勝負を繰り返す上で苛立つ場面は避けて通れなくて、そこで感情が爆発して暴力へ走る流れは宿命のようなものだ。

暴力を肯定する気はなのだが、根絶できるとも思っていない。
格闘技をやっているのであれば、相手に怪我をさせない殴り方くらい覚えてほしくて、暴力のあったとしても怪我人が居なければ大きな事件へ発展しないはずだ。
綺麗事を並べる前に説くべき事柄が多いのに、足下の小石よりも天に輝く星ばかり見上げていては、足下から崩れていっても何の不思議もない。