本当に 警報だけで 防げるか?2015年10月17日 23時48分39秒

徳島県徳島市で盲導犬を連れた視覚障害者が後退するダンプカーに巻き込まれる痛ましい事故を受けて、同県知事による運送車両への警報ブザー及び音声の実装義務化の提言が発表された。
この提言は事故車両に警報装置が装備されていながら、鳴らないように設定されていた事が事故の原因であるとした上で出されている。

大型車両が右折や左折、後退する際の警報は義務化されておらず、メーカーが自主的に安全対策として装着していて、当然ながら装備されていない車両も存在する。
この警報は歩行者のみならず併走する他の車両へ対する注意喚起の意味もあり、ガラス越しでも聞こえるような音量となっているので沿道の住宅から騒音と捉えられてしまう。
そのために警報が鳴らないように設定できる設計となっていたり、ヘッドライトが必要な夜間のみ警報を鳴らさないと言った配慮が成されているのだが、徳島県知事による提言では常に警報を鳴らすよう義務付けようとしている。

警報が騒音問題を引き起こす可能性が無視されている事を踏まえると、徳島県知事は酷く浅はかな発想から提言を作っていると思えてしまう。
俺は警告ブザーが鳴っていたら事故を防げたのかどうかも怪しいと考えていて、そういう視点を持っていると聞こえの良い話を並べているだけの卑しい人間に思えてくる。

警報が鳴っていたら事故を防げた可能性は確かに存在する。
それは間違えないのだけど、ダンプカーほどの大型車両となればエンジン音だけでも存在を確認できるはずで、通常であれば進行方向に関わらず大きく迂回して通過するものと推測される。
そう考えると盲導犬の誘導を無視して、ダンプカーの際を通り抜けようとしていたのであれば、問題視すべきは視覚障害者の安易な判断という事になり、警報の有無が大きく影響したのかどうかは微妙になってくる。

訓練されていると言っても最終的な判断は人間が下すようになっており、危険の孕む状況であっても指示されたら危ういコースを通る場合もある。
今回も道路の反対側へ回るための迂回を嫌って、ダンプカーの脇を通るよう指示した結果という可能性はないのだろうか。
警察の現場検証による報告も聞かずに、警報が鳴らない設定だった事を原因と断定する事で、事故の真相を覆い隠してしまう事態にならないだろうか。