報道の 無責任さに 呆れるよ2012年08月06日 22時42分35秒

TBSテレビ(中国放送) 報道特集
「~知られざる『放射線影響研究所』の実態を初取材」について
http://www.rerf.or.jp/news/TBSRCCJ.html
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放射能影響研究所(以下、放影研)という機関があるのだけど、そこがTBSの中国放送が先日に全国放送した特別番組に対して、抗議文書を送付したというニュースを小耳に挟んだ。
俺も放影研の名前を初めて聞いたのだけど、調べてみると長崎・広島の原爆被害者を調査している機関で、世界で唯一の原爆被害国として多くの情報を世界へ届けているようだ。

放射能による癌リスクに関する情報は様々な国際機関で評価されており、癌治療の最前線でも活用される有益なデータを出しているそうだ。
つまり、癌治療の基盤を支える一柱とも呼ぶべき功績を持つ研究機関であり、7年前に癌の闘病生活の末に他界した母の恩人とも言える存在となる。
そういう発想へ至ると、TBSがどのような内容の放送を行って、抗議文書を送付される事となったのか興味が湧いてくる。

俺は問題の放送を見ていないので詳細を知らないけれど、「初取材で放影研の研究が被爆者のために行われていない事が判明した」という内容だったそうだ。
そう結論付ける根拠として、放影研の調査に内部被爆が含まれていなくて、福島原発事故による被爆者へ有用な情報を提示していない事を出している。
ここで大きな間違えが幾つかあって、1つ目は放影研の研究対象が主に長崎・広島の原爆被爆者であり、原爆と原発事故が全く異なる事象である事を誤解している。
更に放影研の抗議文書へ目を通してみれば、内部被爆に関する調査は古くから行われていて、世界的に認められる成果・功績も出しているそうだ。

原爆は大量の放射性物質を撒き散らすのでなく、原子力という膨大なエネルギーによって生み出された熱線を用いて、辺り一面を焼き払う爆発力を生み出す仕組みとなっている。
つまり、降り注いだ放射性物質の量は少なくて、内部被爆という症例が幾つも報告されるような性質にない。
原発事故は放射性物質が流出した事が被害の長期化を生んでおり、逆に爆発という事態を避けられたから原形を留めている。
原爆が投下された当初、放射能に対する知識も経験もない現場において、数少ない内部被爆の調査を行う準備も必要もなかったわけで、古い資料に内部被爆の調査結果が不足して当然のことだ。

TBSは「初取材」とサブタイトルへ銘打っているのに、抗議文を送付される事態となっている事から考えて、取材と呼ばれる行為が行われていないだろう事が明白なことだ。
このような嘘や虚言をさも真実かのように放送する無責任が腹立たしい。