この時期は かつての部下を 思い出す2012年04月26日 22時31分19秒

この時期になるとニュース番組の中で新入社員に関する話題が登場するようになる。
この手の話題を耳にする度、俺が前の勤め先へ退職の意志表明を行った際に、後釜として育成しろと押しつけられた新人君の事を思い出す。

俺が退職するまでに仕事を覚えさせろとのお達しと共にやってきた新人君は、文系出身で新人研修でしかプログラミングを習っておらず、実質的に素人とも呼ぶべき位置にいた。
そんな素人を僅か半年で一人前に育成できるほど簡単な作業でもなく、かといって放り投げるわけにも行かない板挟みの苦悩の中で、精一杯に丁寧でハイペースな教育を施した。
最終的に別のプロジェクトへ流れていた俺の先輩が引き戻されて、2人体制での業務に当たる形になった所で時間切れとなり、不安を残しながらの退職してきた。

かなり無茶があると思われるスケジュールで行われた怒濤の半年教育に、新人君は頑張って付いてきてくれて、荒削りながら1人でも作業できるレベルへ達してくれていたし、引き戻される上長の扱い方もレクチャーしてあるから大丈夫だと思う。
それでも、この時期になると元気にやっているのか心配になってしまうけど、連絡先を交換していないので、その後を知る術を持たないから思いを馳せる事しかできない。

俺の下へ付いた新人君は真面目な子だったけど、最近の新人は扱いが極めて難しくて、親に泣きついたりするような軟弱者が多いらしい。
聞いた所では自主性を重んじて質問に来るまで待っていると、「何も教えてくれない」「除け者にされている」と言い出すそうだ。
逆に手取り足取りを懇切丁寧に教えていれば、「仕事を任せて貰えない」「邪魔者扱いされる」と言い出すらしい。

確かに教える技量も関わってくると思うけど、教師でもなければ教育術を知っている方が珍しいわけで、指導方法の云々を問題するのはお門違いも甚だしい。
学生は金を払って教育というサービスを受けているのに対して、社会人になると給料を貰いながら教育してもらっているわけで、根本的な部分が逆転している事を認識しなければならないし、親に泣きつくような精神が未発達な愚か者など論外だ。

「教えてくれるのが当然だ」とか「即戦力として使ってもらえる」なんて妄想を抱くべきじゃないし、こんな事を考える幼稚な輩が職を求めるべきじゃない。
先輩達が何年も掛けて培った知識と技術を分けてもらい、仕事をしていく立場を理解する事がまず最初の仕事だろう。
次に「何が分からないのか」を質問にまとめておいて、邪魔にならないタイミングを見計らって質問しに行って、何度も同じ事を聞かないよう一度で確実に習得していく。
こんな行程を何百回と繰り返して一人前を目指していく感じが、順当な新人の立ち居振る舞いだろう。

重要でかつ難しい所は、先輩方の邪魔にならないタイミングを見計らうスキルだろう。
この辺は先輩へ対する最初の質問として本人から聞き出して、苛立っている時や上機嫌な時に出る癖などの目安を教えてもらいつつ、人間関係を構築していくのが近道だろうと思う。
俺の場合は新人君と仕事を始めた時に、忙しい時や煮詰まっている時にやる癖を教えておいて、こういう時は話し掛けずにメールで用件を伝えておくようにと言い付けていた。