親子とも 機嫌が良くて 楽しいな2011年11月27日 19時59分21秒

エアコン室外機の移設工事は朝一番の9時からスタートしてくれたけど、既存の配管を使い回して工数を抑えてもなお2時間ほど掛かっていた。
その状況を眺めながら、昨夜に父親の思い込みを訂正できて良かったと胸を撫で下ろしていて、夕食を済ませた現状でも道理の通らない文句を聞かされずに済んだ事を安堵している。
工事の様子を横でずっと見守っていたので、ベランダへ出入りする作業が終わった事を知らせて、少しでも早く洗濯物を干せるように気遣った事もあって、父親は見積もりの時と逆に上機嫌なくらいだった。

そもそもにエアコンの室外機が置かれているベランダは、父親の寝室から出入りする間取りとなっている。
つまり、父親の頭の上に2台の室外機が置かれていた格好となるので、深夜帯にエアコンが動き出した時にうるさく感じないはずがない。
その懸念もあって疫病神に対しては、深夜にエアコンを使わないよう勧告していたわけで、今日の上機嫌は深夜の騒音から解放されて喜んでいる結果だと推測される。
冬の時期は毎日のようにエアコンの撒き散らす騒音の中で、不快感と怒りを堪えながら布団へ潜り込んでいて、そんな苦痛の時間から解放された事は、俺でも浮き足立つほどに嬉しく感じている。

工事費用に関して、見積もりを持って店頭で本工事の手配をお願いしに行った際、必要な経費が漏れているとして1万2千円ほど上乗せされたのだけど、その追加分が過剰請求だったとして返金される事となった。
見積もり通りの金額による請求で済んでくれる運びとなって、喜びから奈落へ落とされた後に、再び救いの手が差し伸べられる事となって、財布にも嬉しい状況まで加わって上機嫌になっている。
もし手元に日本酒でもあれば気分良く呑めたのだろうけど、残念ながら高校1年の時にドクターストップを言い渡された身なので、ストックなど有るはずもなく酒を飲んだ気分でテンションを上げている。

コレで小説の執筆も順調に進んでくれたなら良かったのだけど、現状は手詰まりを起こして困り果てていたりする。
工事の立ち会い中に体を冷やしてしまった影響もあり、執筆を開始した直後から強烈な眠気に襲われた影響も大きくて、今日中に公開できるのか怪しく思えてきた。
今日中を目指して頑張ってみるつもりだと決意してる矢先に、疫病神が帰宅して耳障りな物音を立て始めているので、思い通りに事が進まなそうな気がしてきた。

上機嫌だったと尚更に強く思うのだけど、あいつは何故に帰ってきてしまうのだろうか・・・

[小説:闇に舞う者] part512011年11月27日 21時46分32秒

初めての方はこちらの記事からお読み下さい。
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805

ティティスはチェルニーの真っ直ぐな視線から逃れるように視線を反らして、伏し目がちに話し始めた。
「暗黒物質を創り出そうと繰り返された研究は全て失敗、それも数万の命が失われる厄災を招いた事から、今では研究する事も禁止されているわ。」
「ボク達が協力すれば、その暗黒物質を創れるかも知れないって事に何か問題があるの?」
「暗黒物質は魔界の住人にしか扱えない。だから、どの研究も大惨事を引き起こしたの。扱えもしない力を生み出す存在はただの脅威にしかならないわ。」
顔へ影を落としながら、吐き捨てるように絞り出されたティティスの言葉にチェルニーは呆然とした。
「貴方達は再び外界と接触する事とのないよう封印される。私は今回の事件に関する記憶を焼き捨てられるわ。」
ティティスが語る言葉の意味を理解すると同時に、チェルニーの視界も涙で濁り始めた。
二度と会えないだけでなく、相手から忘れ去られる寂しさと、覚えていられない悔しさで2人の瞳から涙が溢れ出していた。
出会って間もないはずなのに、過ごした時間が濃厚すぎた影響からか2人の間には、親友以上の絆が生まれていた。
その事実に気付いた事でより大粒の涙が溢れてきた。

ルワンは背後から漂ってくる陰気な気配を感じ取りながら、疲れ気味に溜め息を吐いてから再び巨大な怪物へ攻撃を仕掛けた。
初撃と全く同様に前進して懐へ入ってから飛び上がり、十文字へ斬り付けてから斬撃の交差する場所へ向けて砲撃を放つ。
ルワンの行動へ対する敵の行動は殆ど変わらず、完全にパターン化されていた。
「知性が見受けられない。防衛本能に従うだけの単純な動きだ。何故に、こんな奴が暗黒物質を纏っている。」
疑問を1つずつ言葉に出して確認しながら、化け物が傷口を再生させていく様子を観察していた。
傷の再生を行っている際も含めて、ルワンが行動を起こさない限り化け物の方から動き出す気配がなかった。
「知性の有無という以前に、感情は存在しているのかさえ疑わしい。」
あれ程に派手に切り刻まれているにも関わらず、ルワンへ向けられる魔獣の表情に恐怖や憎悪の念が感じられない。
チェルニーの両親を相手にしている時は、敵意や恐怖といった感情が確かに存在していたのに、目の前に存在している化け物から何も伝わってこない。
こちらの存在を認知していないように見受けられて、ルワンの眉間に苛立ちと共に深い皺が刻まれていった。
ルワンが一片の残滓も残さず消し去る一撃を放つつもりで構えると、両手を広げたディーナに視界を遮られた。
反射的に払い除けようとディーナへ触ると、一気に様々な感情と情報が流れ込んできた。
「らしくないか。確かにその通りだ。」
ディーナから流れ込んできた情報を1つずつ噛みしめながら、ルワンは冷静さを取り戻していった。
「人間の感情を高ぶらせる香りを放っているのか。その上に感情を持っていると思えず、機械的な動きをする。」
ルワンよりも魔導力の感知に優れたディーナの視点で得た情報から、新たな推論を進めていくと1つの仮説が浮かび上がってきた。
「あれは魔獣ではなく、魔草の類がハイレベルに具現化した存在か。あの姿は先に取り憑いた魔獣を養分にしながら取り込んだとも考えられるか。」

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