直ぐにでも 降り出しそうな 黒い雲2011年08月03日 20時36分00秒

今日の昼に弁当を受け取りへ行こうと外へ出てみると、ポツリポツリと大粒の雨が落ち始めていて、またゲリラ豪雨が来そうな嫌な予感を感じたけれど、折り畳み傘を取りに戻るのも面倒だったので強行突破の道を選んだ。
弁当屋さんまで歩いて2分ほどの距離しかないのだけど、空を仰いでみれば瞬間的に本降りが始まりそうな雰囲気の雲が出ていて、面倒くさがった影響で余計なスリルを感じる羽目となったと苦笑しながら歩調を早めた。

通りへ出てみると予想以上に空気が湿っている割に風がなく、今にも降り始めそうな黒い雨雲が猛威を振るわない理由を理解すると同時に、風が吹き始めたらスコールのような急激な変化を遂げそうだと感じた。
そんな焦りが自然と歩調が早歩きから小走りへ変わって、その様子を見ていたらしい自転車へ乗った子供が立ち漕ぎを始めて、無事に降り始める前に帰り着けるだろうかと不安の眼差しで見送った。

弁当屋さんへ到着して注文してから外の様子を注視していると、入店時は全く動いていなかった幟が風に揺れ始めたかと思えば、俺が見つめる目の前で泳ぎを激しくしていった。
外の様子を気にしていると、弁当屋さんが「空気が湿っぽくて、降りだそうね」と言ってきたので、俺は「風が出てきたので、もうやばいです」と答えながら、走って戻れば間に合うだろうかと考えていた。
この時点まで来てしまうと濡れる覚悟も固めてしまっているので、不安よりも間に合うかどうかのスリルを楽しんでいる印象さえあって、つい先日に倒れたばかりで何を言っているかと呆れながら弁当を受け取った。

弁当屋さんを出た直後、本格的な降り出しまで残り1分という数字が頭に浮かんできて、走れば何とか間に合いそうで緊張の糸が切れかけて、油断したまま走り出したら胸ポケットから携帯が飛び降りてしまった。
弁当屋さんを出てから5歩目の出来事で一気に緊張感が増大して、急いで拾いへ戻るとバッテリーカバーが行方不明となっていて、焦りから暴走を始めそうな頭を必死に抑え込みながら、状況を分析してカバーが飛んでいきそうな方向を推測して探ってみると、驚くほど簡単に遺失物を発見できた。
焦りを感じる場面でこそ冷静さが大切なのだと感動を覚えつつ、弁当の入った袋の中へ携帯を放り込むと同時に再び走り始めて、久しぶりに自分の足で地を蹴っての全速力で会社へ戻っていった。

俺の足が1歩を刻む毎に雨足が強まっていく感じで、急激な変化に口の橋を吊り上げながら走り続けて、路面の乾いた場所が少しだけ残っている頃に社屋へ戻ってこられた。
俺が戻ってから1分と経たない間に路面が水浸しになるような雨が降って、間一髪の所で生還したことを喜びながら、たまにはスリルを味わうのも悪くないとか思ってしまった。