[小説:闇に舞う者] part362011年07月03日 20時42分40秒

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http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805

ルワンが九頭棍を構えて臨戦態勢へ入ってもなお、ヴァンと名乗った青年は全く動じずに安穏とした態度で語り掛けてくる。
「そんなに急がなくてもいいじゃないか。とりあえず、君がこの屋敷を訪れた理由くらい教えておくれよ。」
「お前が誘拐した隠れ里の連中を救出するためだ。」
「そこに混じっている猫に頼まれたのかい。得にならない事をして、君は偽善者なの?」
戯けた態度と小馬鹿にした口調で語るヴァンに対して、ティティスが舌打ちをしながら睨み付けた。
その様子を察して、ルワンは少しだけ後ろを気遣う素振りを見せてから口を開いた。
「俺は戦いを求めている、ただそれだけだ。」
「そうなんだ。じゃ、僕の実験に付き合ってくれるよね。」
ヴァンがそう言葉を返しながら指を弾いて合図をすると、彼の立つ舞台の裾から2人の人物が登場した。
ローブを目深く羽織っているため、顔も体型も殆ど判別できない状態でも、頭の上に耳と思しき突起が2つ見えていた。
「耳が特徴的すぎて、姿を隠している意味がないかも知れないけど、まずは彼等の相手をしてもろうか。」
ヴァンは命の尊さなど考えた事もないであろう不適な笑みを浮かべながら、ルワンを指さして何事か呟いた。
それを合図に壇上へ登場した2人の人影が飛び出し、同時にルワンも駆け出して、部屋の中央で衝突した。
次の瞬間にヴァンの放った刺客だけが両サイドへ吹き飛ばされて、床を何度か跳ねながら壁際まで転がっていった。
「ねぇ、チェルニー。あなた達はあんなに身体能力が高いの?」
「違うよ。あんなに早く動ける人は居なかった。」
小さく首を振る少女は目に不安の涙を浮かべながら、手を組んで祈るような姿勢で戦いの行方を見守っていた。
ルワンは2人の刺客を別々の方向へ弾き飛ばしてから動かず、部屋の中央で仁王立ちする格好となっていた。
最初の衝突から数秒が経過して静寂に包まれたかに思われた瞬間、壁際まで転がった2人が達が立ち上がり、再び突撃していった。
部屋の中央で3つの人影が交錯した瞬間、今度は天井へ刺客が打ち上げられ、天井へ張り付いた。
落下を始めた直後に、追跡していたルワンが天井に足を着け、刺客をチェルニーから見て右斜め前方の壁へ向かって投げ飛ばした。
意識を失った様子で2人が飛んでいく様子を見ながら、上着から4本のナイフを取り出し、刀身をなぞりながら魔導力を込んでいく。
一瞬でナイフの刀身が赤い輝きを放つ文様が浮かび上がると、背中から壁へ打ち付けられた2人へ向かって投げはなった。
放たれたナイフは壁に突き刺さると同時に互いを結ぶ光の帯を生み出し、2人の刺客を囲う正方形を描き出した。
ルワンはナイフを放ってから自然落下で天井から降りて、魔法による捕縛が成功した事を確認してからヴァンに視線を向けた。
「おお、実に鮮やかな手際だ。しかも、僕が乱入する隙を全く見せなかったし、素晴らしいと言わざる終えない。」
人を小馬鹿にした態度を見せるヴァンへの警戒をゆるめないまま、捕縛した2人の所へとルワンが移動していく。
人形のように力無く壁へ縫い付けられた2人の所まで行くと、手をかざしながら意識を操っている魔法を探り始めた。
頭から首筋、そして胸元へと検査の手が進んでいった所で、ルワンに驚きの表情が浮かび上がった。
驚きが声へ変わろうかとした次の瞬間に、ルワンの姿を目映い光が包み込んでいた。

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これほどに 間抜けなデモも 珍しい2011年07月03日 20時43分43秒

今日も暑い一日となりそうだったけれど、室温も33度に留まってくれた冷房を使わなくても扇風機だけで凌げたし、脱水症状を起こす気配を感じないまま過ごせたので安堵している。
我慢できる程度の暑さだったとは言っても、自転車で走り回りたいと思えるほど快適な気温でもなかったし、暑さへの耐性も十分に備わっているとも思えなかったので、基本的に自室へ引き籠もって安静に過ごしていた。

暑さが和らぎ始める15時になってから、新しく購入した自転車の微調整を頼むために自転車へ出掛けてきたが、体を動かした途端に大量の汗が滲み出してきて、日差しの下での生活はかなり辛そうに思えた。
自転車の微調整はハンドルを3cmほど高くしてもらって、肩凝りを悪化させている微妙な前傾姿勢を解消したかったのだが、ブレーキや変速機のワイヤーの長さが足りずに1cmほどしか上がらなかった。
それでも少しだけ楽な姿勢を取れるようになったので、サドルの高さを低くしたりと工夫をすれば、負担の少ない姿勢で運転できるようになりそうだったので満足して帰ってきた。

帰り際に大音量のスピーカーで何かを言っている車両があって、対して人が多くない地元にまで宗教団体が湧いたのかと思ったら、警察の先導を受けた100人未満のデモ隊だった。
ただのデモ隊であれば「変なのが居た」という程度の話で済んだのだけど、参加者の殆どが内輪を片手にダラダラと歩いているだけで、温泉巡りをしているツアー客のような浮かれ気分に見えてしまった。

参加者がだらしない印象に呆れているところに「日本政府は震災の責任を果たせ」「東京電力は震災の責任を果たせ」と言い出したから笑ってしまった。
震災復興や原発事故収束へ尽力しろ、と言いたいのだと理解するけど、日本語が下手すぎて「政治が悪いから震災が起きたのだから、責任を果たせ」と言っているように聞こえて仕方なかった。
ましてや、東京電力に関して原発事故の印象が強すぎるから忘れられているけど、基本的に被災した側に位置づけられるわけで、被災した結果が原発事故なのだから色々と可笑しい。
しかも、湯巡り気分にしか見えない集団が言葉足らずに主張する姿は、間抜けにしか見えなくて笑ってしまったわけだ。

地元にまで変なのが湧いたと呆れながら、ブログの記事とするにはインパクトが弱い気がすると悩んでいると、後ろから更なる追撃で「核兵器のない世界を作ろう」と言い出したから爆笑した。
何のデモなのかも判断できないほど主張が支離滅裂としていて、聞こえの良さそうな言葉を思い付き並べただけという印象は、無能を極めた現総理大臣を連想させて、変な意味で時代を反映したデモに思えた。
しかも、スピーカーの大音量で騒いでいた地域は、大きな公園と大学病院とリハビリセンターが殆どを占めていて、デモに関心を示す人さえ殆どいない場所で、何がしたいのか全く理解できなかった。
その上に「何なんだ、あれは?」と思っていたのは俺だけでなく、歩行者の中からも純粋に迷惑なだけの集団と認識されているらしく、呆れた冷たい視線が投げ掛けられていた。