自粛せず 昼の花見 へ 行ってきた2011年04月10日 16時46分52秒

晴れることを期待しながら布団へ入ったけれど、朝を迎えても青空を見えなくて、昨日より明るくて灰色が白色に変わったのみ残念な空模様だった。
それでも桜が来週まで待ってくれそうもないので、予定通りに修理を済ませておいたクロスバイクに乗って、花見を兼ねたサイクリングへと出掛けてきた。

久しぶりにクロスバイクへ乗った事もあって、最初はテンションが高めだったけれど、花見のスポットに到着すると日差しが弱いせいで影が掛かりすぎて見応えに欠けてしまう。
花見と意気込んで出てきたのに、目的の桜が微妙だと徐々にモチベーションも下がってしまって、家を出てから20分としない内に本来の目的を忘れて、普通にサイクリングを楽しもうと気持ちを切り替えていた。

そんなテンションの上がらない花見を続けていると、希に日差しの強くなるタイミングがあったので、午前中は何度かカメラを構える気になれた。
昨日にToda氏を連れてきた航空記念公園では、丁度良い具合に日が顔を覗かせてくれたので、それなりに満足できる写真を撮影できた。
それと同時にToda氏にもこれくらいの桜を見せたかったのだけど、今日は筋肉痛になっていそうだと言っていたし、呼びつけても無駄だろうと諦めて、黙々とシャッターを切り続けた。

航空公園1
●フルサイズ【2848*2136: 1.04MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0387.JPG

航空公園2
●フルサイズ【2848*2136: 1.32MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0389.JPG

航空公園3
●フルサイズ【2848*2136: 1.46MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0393.JPG

それと何度か航空公園で撮影を行っているのに、航空公園らしさが出ていなかった気がしたので、主題を桜から外してカメラを構えてみた。
日本で初めての飛行機が飛んだ地らしくて、航空発祥を記念する石碑と「C-46A」という航空自衛隊から寄贈された輸送機があります。
うんで、その輸送機というのが下の写真になります。

航空公園4
●フルサイズ【2848*2136: 739KB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0400.JPG

上の写真を撮影した後、毎年の花見サイクリングで訪れている母校である大学と、その周辺の後編を目指して自転車を走らせていたのだけど、途中で曲がるべき道を通り過ぎてしまうハプニングが発生した。
そのまま引き返せば良かったのだけど、知らない道を走るのも楽しいとか言い出して、道を適当に選びながら進んでいくと見事に迷ってしまって、気が付けば50kmもの大迷走となっていた。

俺はGPSが使えるツールを持っていないけれど、方角と距離さえ頭に入れておけば、大抵の場所は行き当たりばったりでも辿り着ける勘の良さがある。
そのため、時間に制限がない限りは地図やルートを覚えないまま走り出すので、迷走する事は良くあると言うか、迷うことを1つの楽しみとしている場面さえある。

それでも最終的に目的地へ到着できるのは、幾度も迷走を繰り返した経験から見知った道があちこちにあり、適当に走っていても知っている道へ出られる事が大きい。
それに道路上の青看板で大まかな方角や距離を知れたし、線路や川に行き着けば現在位置を推測できる。
そういった現地での情報収集も含めて、何だかんだで迷っても目的地へたどり着けるのだけど、今回は笑ってしまうほど情報源となるチェックポイントに巡り会えず、コンビニさえもない地域へ迷い込んでいた。

20kmほど迷走したところで、目的だけでなく方角さえも見失っている状況に焦りを感じていると、聞いた事さえもないローカル線の駅へ行き着いて、ようやっと現在位置が判明した。
その際に自分のいた場所は目的地だった大学を直線距離で10kmも通り過ぎた場所であると判明して、仕方がないので線路沿いを走ってどうにか目的地へ辿り着けた。

これで大学の桜が散っていたりしたら、帰宅するだけの気力がなくなりそうだと心配したのだが、タイミング良く空が明るくなったので気分良くカメラを構える事ができた。
特に2枚目の写真は俺が在籍していた頃にはなかったテーブルとベンチが設置されていて、随分と気持ちよく昼食を食べられそうな雰囲気で少し悔しく感じた。

大学1
●フルサイズ【2848*2136: 1.31MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0405.JPG

大学2
●フルサイズ【2848*2136: 1.22MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0407.JPG

大学から次なる目的地である湖畔水鳥の郷公園は1kmしかないので、方向音痴なG社長でもなければ迷走のしようもないし、再び雲が日差しを遮る前に撮影を済ませたかった。
大学の桜が思い出の桜とするなら、湖畔水鳥の郷公園はなごみの桜といった感じだろうか。
人工池を囲むように桜並木の遊歩道が敷かれていて、散策を楽しむ花見客がいてもシートを広げて馬鹿騒ぎをする輩がいないので、のんびりと眺めることができるから、俺のお気に入りスポットとなっている。

湖畔水鳥の郷公園1
●フルサイズ【2848*2136: 1.24MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0417.JPG

湖畔水鳥の郷公園2
●フルサイズ【2848*2136: 1.14MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0426.JPG

湖畔水鳥の郷公園3
●フルサイズ【2848*2136: 1.42MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0431.JPG

大きな目的を果たしたところで、体力の限界が足音を立てながら近付いてきていたため、帰り道は気紛れを起こさずに見知った道だけを走って帰ってきた。
分かり切っている道というのは面白みに欠けるのだが、道中に4歳くらいの見知らぬ男の子が大声で「バイバイ」と挨拶をしてくれたり、細々と心の温まるような場面があったから飽きはしなかった。
ちなみに挨拶をしてくれた男の子には、ほぼ条件反射で応えて「バイバイ」と大声で返しておいた。
一期一会なんて言葉は知らないだろう幼い子供だったけど、ああいう風に挨拶をするのは悪いことではないと思うので、是非とも続けて欲しいと思った。

迷走中も含めて色々な桜を見てきたけど、最後に地元の川沿いに植えられた桜並木を見ていると、ここが最も綺麗な気がすると思ってしまうのは親馬鹿だろうか?
見慣れている影響もあるとは思うけれど、枝振りとか微妙にカーブがあるところとか凄く見応えがあると思うわけだが、やはり地元で様々な見方を知っている強みなのだろう。

地元1
●フルサイズ【2848*2136: 1.36MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0441.JPG

地元2
●フルサイズ【2848*2136: 1.39MB】
http://www.ne.jp/asahi/crimson/luwan/20110410/DSCF0445.JPG

走行距離:87.88km
所要時間:4時間44分
最高時速:38.6km/h
平均時速:18.6km/h

[小説:闇に舞う者] part252011年04月10日 20時40分39秒

初めての方はこちらの記事からお読み下さい。
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805

チェルニーが涙を流し始めるのと同時に、ルワンは何も言わず静かに後退ると祭壇への道を空けた。
チェルニーは涙を拭おうともせず、真っ直ぐに祭壇を見据えながら歩を進めていき、床には足跡の代わって滴が点々と刻まれた。
祭壇の正面へ立ってから数秒の沈黙の後、深々と頭を下げた姿は凛々しささえ感じさせた。
「ありがとう。」
色々な想いが詰め込まれた一言は、しっかりとした濁りのない声で紡がれ、その一瞬だけ少女から一切の幼さが消えたように思えた。
「ありがとう。」
二度目の言葉を吐き出しながら顔を上げてから、ゆっくりとルワンの方へと向き直った。
「お兄ちゃんもありがとう。お話の続きがあるんだよね?」
少女の問いに頷いてから、独りだけ取り残されたかのように佇んでいたティティスに目配せを送った。
ルワンの視線を受けて、ティティスが少女の顔に刻まれた涙の筋をハンカチで綺麗に拭ってあげた。

「生け贄は結界を補修するために行われていたようだ。そして、生け贄の仕組みは後から追加された術式らしい。」
「作り直したのではなく、書き換えられているの?」
ティティスがあまりの驚きから思わず問い返した言葉に、ルワンがゆっくりと頷いた。
ティティスが驚きの表情を浮かべながら「信じられない」と言葉を漏らしていた。
話に取り残されていたチェルニーがティティスの服の袖を引っ張ると、ティティスが慌てて事情の解説を始めた。
「発動中の魔法の書き換えは不可能じゃないけど、最初から作り直した方がずっと簡単なの。だから、書き換える技術があるなら、補修に生け贄を必要としないはずなのよ。」
「それと結界を書き換えた奴も、その目的も見えない。技術レベルから考えて、今回の襲撃者と別人である事だけは確かだ。」
簡単な状況説明が行われた後、チェルニーの疑問へティティスが答える流れが暫く続いた。
ルワンはその様子を眺めながら、一人で増える疑問と向かい合っていた。

最初に村を調べようと考えた理由は、闇の森に守れていたはずの隠れ里が襲撃された原因を知るためだった。
闇の森は善悪の住まう場所を分断して接点を持たせない。
最初から特定の隠れ里を狙っていたとしても、そう易々と見つける事も近付く事もできないようになっている。
可能性があるとすれば、善であるべき存在に悪意が混じり、悪しき者の住まう領域へ近付いてしまった場合だった。
今回のケースで言えば、生け贄の儀式において犠牲となった人々の大半が、苦痛と憎しみを抱えて命を落としている事が悪意となっていたと考えられる。
そこまで納得できた代わりに、生け贄の術式が後から付け加えられた事実がより大きな疑問となって降り懸かってきた。
答えの見えない疑問の迷宮を目の前に、ルワンの出す答えはいつも決まっていた。
「考えるのが面倒だ。とりあえず、先へ進むぞ。」
そう言い放つと同時にティティス達へ背を向けると、ディーナを引っ張り出して床に座らせ、その正面に鋼鉄製のカードを置いた。

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http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2011/04/17/5811887