[小説:闇に舞う者] part62010年11月14日 20時22分25秒

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http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805

「それにしても二人ともボロボロだな。ルワンの壮行会にでも巻き込まれたのか。」
バルコニーで座り込んでいる二人の服が焦げたり破けたりしている事に気が付いたリーゼロッテ女王が呆れ顔で声を投げ掛けた。
「必死に逃げ回ったのですが、パン屋のご主人が離れてくれなくて、否応なしに巻き込まれました。」
「しかも、今回のお祭りはパン屋のご主人が奥さんのへそくりを使い込んだ事を火種になったので、渦中のど真ん中に居座らせられた感じでした。」
思い出しただけで目に涙が浮かぶ恐怖に身を震わせながら、リントとミイシャの二人が交互に応えた。
そんな様子を女王が声を上げて笑い、ミシェルは部下の不幸に同情を覚えながらも手近なメイドに彼女達の着替えの用意を頼んでいた。

「ルワン様は戦闘中でしか魔素を集められないのですから、壮行会と称して皆さんが魔法を打ち合う疑似戦闘の大騒ぎをする事は理解してますよ。だけど、伝令部所属の私達を面白半分に巻き込むのは勘弁して欲しいです。」
リントが泣き言を漏らしながら、恨めしそうな視線を送る。
「お前等が俺よりも早く走れるようになれば巻き込まれる所か、あの馬鹿騒ぎが起きる事もなくなる」
ルワンが背を向けたまま、怒気の混じった声で恨めしそうな視線を振り払われ、リントとミイシャはビクッと体を震わせてより一層に身を小さくさせた。
「そう邪険にしてやるな。ハイリスク&ハイリターンは魔法の絶対原則だ。戦闘中にしか魔法が使えないなんて制約が課されている奴をそう簡単に超えられるものか。」
「全くです。私ですら難しい事を部下に求められても困ります。」
女王とミシェルが呆れ顔で身を丸くする二人に養護する。
その言葉への対抗処置として、ルワンは抱きついて離れないマリアーヌ王女の首を掴むと、猫を摘み上げるように引き剥がしてリーゼロッテ女王に突き出した。
「他人のフォローをする暇があるなら、自分の娘をどうにか落ち着かせろ。これ以上に話が進まないのなら帰るぞ」
「その件については何の問題もないさ。お前に抱きついた時点でもう陶酔してリラックスしまくっている。今の雑談は娘の至福の時間を少しでも長引かせてやろうという親心さ。」
わざとらしく腰に手を当てながら笑う女王の姿を冷ややかな視線を送っていたルワンが溜め息と共に王女を支えていた手を放した。
支えを失った後もマリアーヌ王女は別の世界へ旅立ったままで、顔面を床へ打ち付けて尻尾を踏まれた猫のような声を上げまで夢見心地を堪能し続けた。

マリアーヌ王女が間の抜けた悲鳴を上げたところでコントのような流れは終幕となり、当事者が正気へ戻った事を確認したミシェルが淡々と報告書を読み上げていく。
「失踪した女性はマリアーヌ王女の文通友達で今朝一番の船で入国されたティティス・リアムレイド様です。」
「お二人の文通は3年も前から続いていますが、実際に面会するのは今回が初めてとなります。」
「入国の名目は御友人との対談ですが、ティティス様は御父上が禁忌を犯そうとしているのでないかと疑っておいでで、御父上が収集している魔石を持ち出して真偽を確かめるための調査依頼という裏事情もあります。」
「現場はこのマリアーヌ王女の自室で、マリアーヌ王女とティティス様が二人きりになられた2分間に発生しています。当時の状況はマリアーヌ王女が錯乱状態に有ったため、詳しく聴取できておりません。」
「現状で分かっている事は以上です。」

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体調を 気遣いながら 忙しく2010年11月14日 20時23分36秒

昨日も少し夜更かしをしてしまった影響もあってから、部屋を暑いくらいにしておかないと寒気を感じそうな予感がしながらも、出掛けられそうなレベルまで回復していた。
それでも頭痛が残っていた事もあって午前中は大人しく自室で休養して、午後から体調が悪化しないよう暖かい格好を心掛けながら、防寒具を揃えるための買い物へ出掛けてきた。

前回に探しへ行った時は見付からなかった前あきのベストも入荷されていたし、値下がりした秋物ジャケットで良い感じの品を見付けられて、多町に不安がある中で出向いてきた甲斐があった。
残念な事と言えば、購入したジャケットのサイズが袖丈を基準にするとMが最適で、肩幅に合わせるとLが丁度良い具合になってしまうため、袖を詰めてもらうのに1週間ほど掛かってしまうと言われた事だろう。
ジャケットに限らず、スーツでもズボンでも肩幅や太股が太いなどの理由から、必ず手直しを必要とするので待たされるのはいつものことだが、今回は体調不良を気にしての新調しただけに1週間後が待ち遠しく感じる。

買い物から帰宅して明日から小説の執筆活動へ取り掛かってみるも、苦手意識の強い会話文が多いだけに手が進まなくて、夕暮れを迎えてからは焦りも加わって軽くパニック状態へ陥っていた。
このところ日曜の夕暮れ時になると、小説が進まずに焦りながらPCと睨み合う事が新しい習慣となっており、逆に言えば薄暗さと焦りがないと集中できない癖が付いた印象さえ感じる。
連載を始めた当初の予定では、平日の暇な時間を見付けて下書きを蓄えておいて、週末に軽く整形と読み返しを行って掲載という手順を計画していたのに、最初の2回くらいしかリズムを守れなかった。

今のところ用事がなければ週1回のペースでの連載を続けているけど、このペースも何時まで守れるのか不安を感じている始末だ。
しかも、元よりクオリティを低めに設定して連載している身分だけど、今回は特に酷い気がして頭を抱えながらも、時間がないからと投稿ボタンを押してしまった。