[小説:闇に舞う者] part2 ― 2010年10月03日 18時39分41秒
初めての方はこちらの記事からお読み下さい。
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/09/20/5357805
微笑みの消えた状態へ陥ってしまったリーゼロッテ女王は、仕事が手に着かなくなってしまうので、問題解決のために率先して相談役や仲介役を担う事もミシェルの重要な役割となっていた。
しかし、今回は良くある母娘問題ではなくて、王女の客人がその目の前で神隠しに遭って失踪してままうという事件が原因であり、自由に行動できない立場にあるミシェルでは解決が困難であった。
そのため彼女にできた事と言えば、この手の事件を扱う事に長けていて、女王や王女からの信頼が厚い人物の下へ使いの者を走らせる程度だった。
国王の執務室が溜め息で満たされて重たい空気に包まれている中でも、時計だけは変わらぬリズムで時を刻み続けている。
ミシェルが壁掛け時計へ視線を向けると、使いの者が出発してから1時間が経過したところだった。
「今頃はあの面倒臭がり屋を説得しているところでしょうね」
ミシェルが呟きに対して、視線が机の上から壁掛けの時計へ移した女王の目には、国王の命令さえも平然と無視するような自由人を、涙目になりながら説得している小柄な双子の姿が思い浮かんでいた。
「あいつが素直に動いてくれればよいのだが・・・」
女王の苦笑と共に紡がれた言葉には心労の色が滲み出ており、今にも倒れてしまうのではないかと心配になるほどに弱々しく、ミシェルは一刻も早く待ち人が到着する事を祈っていた。
王都の城門を抜けて封印の内側へ入ると、魔性の森に打ち込まれた白い杭のように、一本道が木々の作り出す闇へ向かって一直線に延びている。
その街道を進んでいくと、封印の内側に存在する唯一の町ドーラ・クレイドルへ辿り着くことができる。
世界で最も危険と隣り合わせな町は国内でも屈指の賑やかな雰囲気に包まれており、一癖も二癖もある住民達が頻繁にお祭り騒ぎを巻き起こしている
そんな騒動が起きる時、決まって喧噪の中心に据え置かれては迷惑そうな表情を浮かべている少年こそが、リーゼロッテ王女が呼び寄せようとしている人物だった。
彼の名前はルワン・F・ダウロスといい、ルディア王国の中でも数人しかいない「闇に舞う者」の称号を受けた者として、国王と同じくらいの知名度を誇っている。
彼の持つ称号は、奥へ進むほどに危険度が増していく魔性の森の中でも、最も危険とされる「闇の森」と呼ばれる領域への立ち入りを許可された者に与えられる。
優秀である事は与えられた称号から明白なのだが、ドーラ・クレイドルの住民として多分に漏れることなく変わり者で、名誉ある称号の授与式の主役にも関わらず欠席してしまうほどの面倒くさがり屋であった。
面倒くさがり屋である事は自他共に認めているけれど、無責任という訳でもなく、不必要に事件へ巻き込まれる事を嫌っているだけで、元来は面倒見が良い方だったりする。
そういった扱いづらい性格と、動き始めてからの頼り甲斐を知っているだけに、リーゼロッテ女王の心労は尽きる事がなかった。
次へ
http://crimson-harberd.asablo.jp/blog/2010/10/11/5398094
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微笑みの消えた状態へ陥ってしまったリーゼロッテ女王は、仕事が手に着かなくなってしまうので、問題解決のために率先して相談役や仲介役を担う事もミシェルの重要な役割となっていた。
しかし、今回は良くある母娘問題ではなくて、王女の客人がその目の前で神隠しに遭って失踪してままうという事件が原因であり、自由に行動できない立場にあるミシェルでは解決が困難であった。
そのため彼女にできた事と言えば、この手の事件を扱う事に長けていて、女王や王女からの信頼が厚い人物の下へ使いの者を走らせる程度だった。
国王の執務室が溜め息で満たされて重たい空気に包まれている中でも、時計だけは変わらぬリズムで時を刻み続けている。
ミシェルが壁掛け時計へ視線を向けると、使いの者が出発してから1時間が経過したところだった。
「今頃はあの面倒臭がり屋を説得しているところでしょうね」
ミシェルが呟きに対して、視線が机の上から壁掛けの時計へ移した女王の目には、国王の命令さえも平然と無視するような自由人を、涙目になりながら説得している小柄な双子の姿が思い浮かんでいた。
「あいつが素直に動いてくれればよいのだが・・・」
女王の苦笑と共に紡がれた言葉には心労の色が滲み出ており、今にも倒れてしまうのではないかと心配になるほどに弱々しく、ミシェルは一刻も早く待ち人が到着する事を祈っていた。
王都の城門を抜けて封印の内側へ入ると、魔性の森に打ち込まれた白い杭のように、一本道が木々の作り出す闇へ向かって一直線に延びている。
その街道を進んでいくと、封印の内側に存在する唯一の町ドーラ・クレイドルへ辿り着くことができる。
世界で最も危険と隣り合わせな町は国内でも屈指の賑やかな雰囲気に包まれており、一癖も二癖もある住民達が頻繁にお祭り騒ぎを巻き起こしている
そんな騒動が起きる時、決まって喧噪の中心に据え置かれては迷惑そうな表情を浮かべている少年こそが、リーゼロッテ王女が呼び寄せようとしている人物だった。
彼の名前はルワン・F・ダウロスといい、ルディア王国の中でも数人しかいない「闇に舞う者」の称号を受けた者として、国王と同じくらいの知名度を誇っている。
彼の持つ称号は、奥へ進むほどに危険度が増していく魔性の森の中でも、最も危険とされる「闇の森」と呼ばれる領域への立ち入りを許可された者に与えられる。
優秀である事は与えられた称号から明白なのだが、ドーラ・クレイドルの住民として多分に漏れることなく変わり者で、名誉ある称号の授与式の主役にも関わらず欠席してしまうほどの面倒くさがり屋であった。
面倒くさがり屋である事は自他共に認めているけれど、無責任という訳でもなく、不必要に事件へ巻き込まれる事を嫌っているだけで、元来は面倒見が良い方だったりする。
そういった扱いづらい性格と、動き始めてからの頼り甲斐を知っているだけに、リーゼロッテ女王の心労は尽きる事がなかった。
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あれこれと 予定をこなし ホッとする ― 2010年10月03日 20時54分49秒
昨夜の23時頃から風邪っぽい症状が出始めていて、10分毎に体調が悪化していくような調子だったため、念のため就寝前に風邪薬を服用しておいた。
その甲斐もあって朝までに寒気や鼻水は落ち着いていたけれど、体調を回復させるのに体力を使ってしまったらしくて、寝起きから疲れを感じている有様だった。
そんな気怠い朝を迎えてしまったのだけど、今日はやりたい事が幾つか重なってしまっており、何から手を付けていくかで悩んでいただけに、体調不良という形で出鼻を挫いてしまった事が残念で仕方がなかった。
しかしながら、治りかけの体で無茶をすると平日の仕事へ響いてしまって大変なので、午前中は大事を取って休養することにして、録画したアニメの鑑賞などで穏やかに過ごしていた。
体調は回復方向へ向かっているらしく、昼前までに気怠さも抜けたし食欲も沸いてきたので、昼食を食べ終わってから予定していたビジネスバッグ探しへ出掛けてきた。
今日は自転車で行ける範囲で3カ所を見てきたのだが、予想を遙かに下回る品揃えの悪さに時間を無駄にしたと、大きな後悔を背負わされて帰宅する羽目となってしまった。
やはり品揃えを重視しての買い物となれば、都心まで行かないと吟味の対象となる品にすら出会えないようだと、改めて認識させられた。
帰宅後は小説の執筆活動に勤しんでいたので、無事にPart2を公開できた事は良かったのだけど、何というか書きたい事が多すぎて全く話が前へ進んでくれない状況が心苦しくて仕方がない。
本来なら説明事項を会話の中へ織り交ぜたり、色々な場面へ散りばめてみたり、本当に必要かどうかを吟味して削ったりと、やるべき事が色々とあると理解しているつもりだ。
しかし、今回はネタ帳を公開するような気分で頭を使わずに書いているから、読みづらかったりする部分は敢えて目を逸らしたまま、記事の公開ボタンをクリックしていた。
ひとまず危ういながらも予定をこなす事ができてホッとしながら、一日を振り返ってみると日曜と思えないほど疲れ切っている。
まだ充実感があるから良いのだけど、ビジネスバッグ探しだけでも早々に蹴りを付けてしまいたいものだ。
その甲斐もあって朝までに寒気や鼻水は落ち着いていたけれど、体調を回復させるのに体力を使ってしまったらしくて、寝起きから疲れを感じている有様だった。
そんな気怠い朝を迎えてしまったのだけど、今日はやりたい事が幾つか重なってしまっており、何から手を付けていくかで悩んでいただけに、体調不良という形で出鼻を挫いてしまった事が残念で仕方がなかった。
しかしながら、治りかけの体で無茶をすると平日の仕事へ響いてしまって大変なので、午前中は大事を取って休養することにして、録画したアニメの鑑賞などで穏やかに過ごしていた。
体調は回復方向へ向かっているらしく、昼前までに気怠さも抜けたし食欲も沸いてきたので、昼食を食べ終わってから予定していたビジネスバッグ探しへ出掛けてきた。
今日は自転車で行ける範囲で3カ所を見てきたのだが、予想を遙かに下回る品揃えの悪さに時間を無駄にしたと、大きな後悔を背負わされて帰宅する羽目となってしまった。
やはり品揃えを重視しての買い物となれば、都心まで行かないと吟味の対象となる品にすら出会えないようだと、改めて認識させられた。
帰宅後は小説の執筆活動に勤しんでいたので、無事にPart2を公開できた事は良かったのだけど、何というか書きたい事が多すぎて全く話が前へ進んでくれない状況が心苦しくて仕方がない。
本来なら説明事項を会話の中へ織り交ぜたり、色々な場面へ散りばめてみたり、本当に必要かどうかを吟味して削ったりと、やるべき事が色々とあると理解しているつもりだ。
しかし、今回はネタ帳を公開するような気分で頭を使わずに書いているから、読みづらかったりする部分は敢えて目を逸らしたまま、記事の公開ボタンをクリックしていた。
ひとまず危ういながらも予定をこなす事ができてホッとしながら、一日を振り返ってみると日曜と思えないほど疲れ切っている。
まだ充実感があるから良いのだけど、ビジネスバッグ探しだけでも早々に蹴りを付けてしまいたいものだ。
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