空気まで 凍ったような 穏やかさ2009年11月02日 21時08分28秒

昨日は南風と暖かかな日差しのおかげで夏のような陽気に恵まれていたのに、今日は北風の吹く肌寒さを冷たい雨が更に加速させてくれて、ギャップの激しさも手伝って身震いをする場面さえあった。
天気予報によると北の方で初雪が観測されたとか言っていたし、昨日の暖かさは冬へ向けてダッシュするための助走か何かだったように思えてくる。
俺は基本的に暑いより寒い方が得意な人間ではあるけれど、急激な変化でしっかりと付いていけるほど健康ではないので、早足で駆け寄ってくる冬の気配に戸惑う一日だった。

そんな戸惑いの中にあった今日は珍しくG社長が飼っているシェパード犬のユウ君が無駄吠えも少な目で大人しく、平和な時間が多くて随分と心地よく仕事をすることができた。
これが数日前に無駄吠えをやめないユウ君を角地まで追い詰めた上に、口先を掴んで数分間に渡って睨み続けたり、少しでも無駄吠えをしたら玄関先まで足音を大きく警告に向かったりした効果だと思いたい。
しかし、今日の天候を考えると出掛ける人が少なくて、無駄吠えをする機会が少なかっただけという可能性もあって、今日一日だけでは確信がもてないというのが実状だ。

それでもユウ君の中で俺の存在が恐怖の対象として書き換えられたと思われる変化が見受けられて、睨みつけ続けた数分間の成果は確かに彼の心へ刻まれている。
今日の帰り際なんて俺の姿を見るやいなや犬小屋へ逃げ込んで、目を合わせれば耳をピンと立てながら注目していた。
本音を言えば、警戒すべき存在と認識されて避けられる事を悲しいのだが、怒られている認識さえ持っていない可能性のあるユウ君にとって、恐怖の対象は必要不可欠なのだ。
ひとまず俺が本気で怒ってくる驚異と分かってくれれば、無駄吠えが怒られる行動なのだと理解すると信じて、文字通りの憎まれ役を飼って出ている次第だ。

俺にとってユウ君の無駄吠えは耳へのダメージとなるため、本物の怒りをぶつけてやることもできるし、一日でも早く無駄吠えを治して欲しいと切望している人間でもある。
まして、基本的に動物が恐怖する対象となれる凶暴性を内に飼っている人間で、平日は毎日のように出入りする他人だったりと、これほど嫌われる対象として良い条件が揃った適任者はいないだろう。
それに利口になってくれた後で関係を修復する自身もあるし、今は怖がられる事を喜びにする鬼として君臨する事にしよう。