台風へ 挑みし過去を 振り返り2009年10月06日 21時17分34秒

天気予報を眺めていると関東地方への上陸が心配される台風があって、その勢力が過去最大級となる見込みだと警戒を呼び掛けていた。
しかし、過去に上陸が心配された台風が目前で針路を変えていく姿を何度となく見ていることに加えて、風や大雨の被害に遭った経験がないためか危険を実感することができなくて、何処か海の向こうの話を聞いているような気分だ。
もちろんニュースなどで台風の爪痕と呼ばれる光景は目にしているので、甘く見ては行けないと頭で分かっているのだけど、情報でしか知らない危険よりも今まで何とかなってしまった経験を優先してしまう傾向が強い。

過去の経験で言えば、高校時代に台風の直撃を受けている真っ直中を 3段ギア装備のママチャリを走らせて、自宅から12km先の学校まで行ってきたなんて経験がある。
高校の規程では午前 7時の時点で所定の路線が運休していないと休校にならないと定められていて、家を出るべき時間になっても遅延の報告はあっても運休という情報は入らなくて通学しなければならなかった。
そんなわけで雨合羽を羽織って家を出たのだけど、強い風に流された雨粒は正しく横殴りに襲いかかってきたため、首筋から進入した雨水のおかげでずぶ濡れとなっていたのを良く覚えている。

苦労を重ねた末に学校へ辿り着いてみたけれど、ホームルームの時間を過ぎても自宅から歩いて来られる連中しか姿を見せなくて、俺の教室に至っては誰も居らず担任すらも登校してこなかった。
ホームルームの時間が終わる頃に別のクラス担任が教室に顔を出して、教師も殆ど登校できていないので休校になると、一言だけ残して次のクラスへ同じ報告をしに行ってしまった。
もちろん放課後のような誰も居ない教室にポツンと 1人だけ座っている状況で、授業が始まるなんて思うほど馬鹿ではなかったが苦労して登校したのが無駄だったと知った時の言いようがない脱力感は今でも良く覚えている。

そんな脱力感と疲労から再び台風の中へ飛び出す気力も起きるはずもなく机へ突っ伏していると、30分ほど遅れて担任が登校してきて俺の姿に驚きの声を上げていた事も良く覚えている。
しかも、俺の交通手段を聞いてきた時も「自転車なんだよね?」と電車や車で登校という一般的な選択肢を取るはずがないと言わんばかりの質問だった。
もっとも電車で通学しようとすると遠回りの路線しかなくて、自転車の倍近い時間が掛かるからと片道30分も自転車を走らせていた人間だから、普通じゃないと思われても仕方がないし、事実として電車なんて考えもしなかった。

こんな感じの台風の直撃を受けながらの自転車を走らせた経験が他にもあったりして、どうにかなるもんだと思ってしまう自分がいるわけだ。
その半面で昨今の異常気象を思うと今回の台風がどれほどの被害をもたらすのかと言いしれぬ不安に駆られていて、今まで台風に対して抱いたことのない感情に戸惑いながら動物的本能が警告しているのではないかと考えている。