考える 生き物だから 面白い2009年04月15日 19時13分52秒

社屋として間借りしているG社長の自宅でユウという名の犬が飼われているのだけど、犬種がシェパードだから頭は良いはずなのに使い所が少し間違っていて、偶に面白いネタを提供してくれている。
もっとも体こそ大きくなってきても子犬に分類されるので間が抜けているのは仕方がないのだが、そうと分かっていても見ていて面白い。
残念ながら人見知りが激しくて、ャイムが鳴っただけで大騒ぎをしてくれるため、大きな音への耐性が低い俺にとって苦痛の時間も多くて面白がってばかりもいられない。
もう少し落ち着いて簡単なボール遊びでも覚えてくれると息抜きができて良さそうなのだが当分先の話となりそうだ。

ユウ君の頭は使い所が食べ物の終着に偏っている傾向があるのだけど、自制心や平常心が足りなくて目の前に食料があると興奮して強引な手段にばかり出るようになる。
最近になって転がせば中に入ったオヤツが手にはいるシンプルな玩具を飼ってきたのだけど、壊して取ろうとしたり強引に鼻を突っ込もうとしたりしていた。
そんな悪戦苦闘の末に水の中へオヤツの入った玩具を入れてしまい、湿ったお菓子は内壁に付いてしまって何をしても出てこなくしてしまった。
中に水を入れて新井だそうとしたのであれば誉めてやるところなのだけど、ユウ君は玩具を食わえたまま水を飲もうとした結果なんだから残念賞にも届かなかった。

そんな間抜けを繰り返していたユウ君に 1つのひらめきがあったらしくて、街角でもらってきたクイックルワイパーの試供品に対して異様な執着を見せた。
中身型だの試供品という事もあって取り上げることもせず放置していたら、ビニールを破って中身の布を取り出すと必死になって噛み始めた。
ここまでは予想の範囲内だったのだけど、どうも単純に噛んでいるだけでなくて何とかして食べようと頑張っているようとしている風に見えた。

クイックルワイパーを食べようとする必死さに陰りが見えて始めると、時折に様子を見ていた俺やG社長の方をチラ見するようになってきた。
その訴えるような目を見て思ったのだが、もしかしたらビニールに入っているのは食べ物だと認識しているのではないかと思えてきた。
仕事場の一角に置いてある生き抜きようの菓子も犬の餌もビニール詰めになっているし、よく考えてみれば弁当もビニール袋から取り出している。
つまり、あの家における食事は殆どがビニールに入っているわけで、ユウ君の認識は間違っていなかった。

彼が手にした試供品は食べ物ではなかったのだがビニールの中に入っていたのだから食べ物に違いないと思って、必死に食べられる場所を指がしていたわけだ。
そう思ってみると観察していた俺等に対する視線は「これ、たべられるんだよね。そうだよね?」と聞いているように見えてきて腹を抱えて笑いたくなるほどの面白く見えてきた。
しかも、俺等が笑っている姿から食べ物ではないのだと悟ったらしい瞬間の残念そうな表情とふてくされる態度は傑作で、ビデオを回しておきけばよかったと本気で後悔した。

その後もビニールの中に何か残っていないかとか調べている姿を楽しんで、あまりにも可哀想だったからオヤツをやったのだけど、何故か直ぐに食べようとしなかった。
どうやら今度は「こんなに簡単にオヤツが貰えるはずがない」と疑っらしくキョトンとしていて、その表情は間抜けの一言に尽きて面白かった。