古書の価値 下がり続ける この時勢2009年03月01日 21時41分17秒

このところデータ保存用ディスクがパンクして別領域へファイルを移動させるという急場凌ぎを繰り返しているため、外付けHDDを買ってこようと考えていた。
自分の財布としては余裕があるわけではないけれど、生産調整が始まって値下がりに歯止めが掛かるという話も耳に入っているので今が買い時と判断した。

身支度をしている途中で本棚の一角に古本屋へ持ち込もうと思っていた本の山があるのを思いだして、軍資金の足しにしようと思ってリュックサックへと詰め込んで持ち出した。
冊数は20冊くらいだけど大きめの本が多かったのでリュックは満杯で重量もそれなりにあり、久しぶりに肩に食い込む感触が味わって何故か楽しい気分になってしまった。
今回の処分品は作品の序盤でストーリーの方向性が変わってしまって飽きてしまった作品や記憶するまで読み返した古いシリーズがメインとなっている。
そのため大した金額にならないと想像していたのだけど、現実は随分と厳しくて想定していた金額の半分くらいでしか買い取って貰えなかった。

買い取り金額が落ちてしまった原因は持ち込んだ本が微妙だった事もあるのだけど、古書の通販で 1円商法が横行している影響が大きいそうだ。
具体的に 1円商法とは本体価格とは別の部分で利益を得る商法の事で、古書を 1円で売り出して送料の方で提示金額より安い方法で発想して差額分を収入とする。
例えば、本の価格は 1円で送料 320円と表示して売り出して、実際には 180円ほどの梱包で発送するといった具合だ。
やり方としては 1円の携帯電話が本体価格よりも契約金の方を収入源としていたのと同じような感じだ。

このような 1円商法が横行した結果、古書の買い取り価格は新書だったり 1巻から最終卷まで揃っていたりといったオプションが付かない限りは値段が付かない状態らしい。
状況がそうであるなら古本屋さんを責めることはできないので提示金額で引き取ってもらったけれど、やはり気分は良い物ではなくてテンションは下がってしまった。
その心理状況の変化が行動にまで影響してしまって、駅へ向かうはずだったのに、気が付けば帰宅コースに進路を取っている始末で、完全に遠出して買い物をする気力がなくなった。
そんな状態だったから無理をせずに、母親の仏前に供える花だけを購入して帰ってきてしまった。

どうにも送料の差額を利用した 1円商法は合法なのかという点が腑に落ちない。
契約は双方の認識に差があると成り立たないわけで「送料 320円と聞いて綺麗な梱包で送られてくると想定したのに実際は違った」という場合はどうなるのだろうか。
明確にメール便で発送とか明記されている文句は言えないけれど、明確な表記がない場合は送料の差額を返却請求ができそうな気がしてしまう。

もちろん実際にそのような行為を行っても発送の手数料が含まれていると言われて丸め込まれるのが落ちなのだろう。
それにしたって本来は「手数料込み」と明記されていないと成り立たない話だが、そこを追求しても購入者から見ると戻ってくる金額は微々たるものだ。
実際問題として割に合わないから見て見ぬ振りをされているのが現実なのだろう。

その辺の甘やかしが原因となって健全な古本屋が厳しい状況に立たされるという状況は何とも面白くない。
何処ぞの大型店のように本の背表紙を綺麗に見せるためにヤスリを掛ける行為が本の質が落とされて、今度は 1円商法で価値が下げられたわけか。
何というか本が好きな人間としては腹立たしい世の中になったものだ。